運動による心肥大発生に関する神経体液性因子の影響‐心筋オルニチン脱炭酸酵素活性からの検討

I. 緒言 運動により心機能が良好になるが, これはスポーツ心臓(Athlete's heart)と呼ばれる. スポーツ心臓は, 活発な身体活動を継続的に行った結果起こる身体的, 機能的, 形態学的変化を総括した概念であり, 適応現象と考えるのが一般的である. その徴候として徐脈, 心肥大, 心電図変化などがあげられる. 機能的には一回拍出量の増加, 収縮時間の延長などがみられる1)-4). 心筋細胞はより高い機能を得るべく機能的に様々な変化を生じ, 形態的には肥大している5)6). この肥大は生理的肥大といわれ, 高血圧や心筋症による病的な肥大とは異なるとされている7). しかし,...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 2001-03, Vol.116 (2), p.89-98
Hauptverfasser: 濱屋貢造, 清水光行, 上原良樹, 小川和彦, 溝上恒男, 佐々木英樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I. 緒言 運動により心機能が良好になるが, これはスポーツ心臓(Athlete's heart)と呼ばれる. スポーツ心臓は, 活発な身体活動を継続的に行った結果起こる身体的, 機能的, 形態学的変化を総括した概念であり, 適応現象と考えるのが一般的である. その徴候として徐脈, 心肥大, 心電図変化などがあげられる. 機能的には一回拍出量の増加, 収縮時間の延長などがみられる1)-4). 心筋細胞はより高い機能を得るべく機能的に様々な変化を生じ, 形態的には肥大している5)6). この肥大は生理的肥大といわれ, 高血圧や心筋症による病的な肥大とは異なるとされている7). しかし, その機序に関してはいまだ明らかではない. 運動時には, 種々の体液性因子が上昇する8). 中でもカテコラミンとアンジオテンシンIIの心肥大への関与が示唆されてはいるがその詳細は不明である. ポリアミンは, 細菌, 植物, 動物組織など広く生物界に分布している非蛋白性窒素化合物である. 生体には3個のアミンを有するスペルミジン(spermidine)と4個のアミンを有するスペルミン(spermine)がある. 一般には, その前駆物質であるジアミンのプトレッシン(putrescine)も含めてポリアミンと総称する.
ISSN:0375-9172