B-38. 摘出灌流心標本を用いた心筋細胞内Caの測定による, 選択的Na/Ca交換系阻害薬KB-R7943の虚血再灌流における心筋保護効果

目的:近年イオン指示薬は単離細胞のみならず, 摘出灌流心などの組織標本に対しても汎用されてきた. そこでCa感受性蛍光指示薬を摘出灌流心に負荷し, 虚血再灌流障害における, reverse mode Na/Ca交換系(NCX)の関与を評価するために, 選択的reverse mode NCX阻害薬の血行動態, 不整脈発現および細胞内Ca動態への効果を検討した. 方法:300-350gの雄性Sprague-Dawleyラットを用い, 無治療群と, NCX阻害薬KB-R7943(10μM)による治療群にて比較検討した. 実験A:血行動態・不整脈の検討. 摘出心をworking heart法にて灌流し...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1999, Vol.114 (6), p.292-292
Hauptverfasser: 森力, 関晋吾, 堀越一昭, 武田博, 安澤龍宏, 永田晶子, 伊達太郎, 小林道子, 宮崎秀和, 岡崎史子, 小野寺達之, 谷口正幸, 石川眞一郎, 望月正武
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:近年イオン指示薬は単離細胞のみならず, 摘出灌流心などの組織標本に対しても汎用されてきた. そこでCa感受性蛍光指示薬を摘出灌流心に負荷し, 虚血再灌流障害における, reverse mode Na/Ca交換系(NCX)の関与を評価するために, 選択的reverse mode NCX阻害薬の血行動態, 不整脈発現および細胞内Ca動態への効果を検討した. 方法:300-350gの雄性Sprague-Dawleyラットを用い, 無治療群と, NCX阻害薬KB-R7943(10μM)による治療群にて比較検討した. 実験A:血行動態・不整脈の検討. 摘出心をworking heart法にて灌流し, 心電図, 心拍出量, 左室圧をモニターした. 300bpmのペーシング下でwhole heart ischemiaを10分間誘発し, 再灌流を行った. 治療群では虚血前にKB-R7943を投与した. 実験B:細胞内Ca動態. Langendorff法にて定流灌流し, 蛍光指示薬fura-2/AMを心臓に負荷, Ca analyzer(日本分光)を用いて心筋細胞内Ca([Ca]i)を測定した. [Ca]iは340nm/380nmの励起光による500nmの蛍光強度比を指標とした. 140bpmのペーシング下に冠灌流量を10%に減少させるlow flow ischemiaを10分間誘発し, 再灌流を行った. 治療群ではKB-R7943を虚血前より虚血中および再灌流後1分間投与した. 結果:A:再灌流後の心室細動発生率は無治療群の85%に対して, 治療群では完全に抑制されるとともに左室機能の回復も有意な改善が得られた. B:Fura-2負荷後, 心臓の収縮に一致して細胞内Caの増減を示すCa transientが得られた. 虚血誘発後, Ca transientの振幅は減少し, 拡張期[Ca]iはレベルは上昇した. 治療群では虚血による拡張期[Ca]iの上昇は無治療群と比較して有意に抑制された. 結論:虚血再灌流障害における細胞内Ca過負荷に対して, reverse mode NCXの抑制が, 過負荷の軽減とともに, 再灌流障害からの保護に重要であることが示唆された.
ISSN:0375-9172