B-25. 急性肝炎重症化におけるHBV core promoter/pre-C領域の変異に関する検討
目的:B型肝炎ウイルス(HBV)による病態は多様であるが, その原因としてウイルス側の遺伝子の変異が注目されている. HBV遺伝子のpre-C, core領域の変異の有無と肝炎の重症化との関連が検討され, pre-C領域の28番目の停止コドンへの変異が劇症化時に高率に検出されている. また, HBV増殖との関連でcore promoter領域の1762と1764塩基の変異も注目されているが未だ機序解明には至っていない. 今回, 我々は急性肝炎の重症化とHBV遺伝子のcore promoter/pre-C領域遺伝子の変異との関連について検討した. 方法:当院にて経験したB型急性肝炎15症例を対象...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1999, Vol.114 (6), p.285-285 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:B型肝炎ウイルス(HBV)による病態は多様であるが, その原因としてウイルス側の遺伝子の変異が注目されている. HBV遺伝子のpre-C, core領域の変異の有無と肝炎の重症化との関連が検討され, pre-C領域の28番目の停止コドンへの変異が劇症化時に高率に検出されている. また, HBV増殖との関連でcore promoter領域の1762と1764塩基の変異も注目されているが未だ機序解明には至っていない. 今回, 我々は急性肝炎の重症化とHBV遺伝子のcore promoter/pre-C領域遺伝子の変異との関連について検討した. 方法:当院にて経験したB型急性肝炎15症例を対象とし, 劇症肝炎群4例, 重症肝炎群4例(ヘパプラスチンテスト40%未満), 通常経過群7例の3群に大別した. 急性期の保存血清より抽出したDNAを既報のプライマー(Sato et al, Ann Intern Med, 1995)を用いてPCR法にて増幅し, 直接塩基配列決定法にてcore promoter/pre-C領域の遺伝子配列について解析を行った. 成績:pre-C領域の1896塩基の変異は劇症肝炎群の3例と重症肝炎群の1例と通常経過群の1例でいずれもGからAへの変異であった. core promoter領域の1762と1764塩基の変異は劇症肝炎群では両塩基のdouble mutation1例と1764塩基のsingle mutation1例で, ともにpre-C領域の1896塩基の変異を認めた例であった. 重症肝炎群はdouble mutation1例のみで, 1896塩基の変異を認めない例であった. また, 通常経過群にも2例のdouble mutationがあり, うち1例は1896塩基の変異も認めた. 以上, 劇症肝炎群にpre-C領域の28番目の停止コドンへの変異例が多く, 重症肝炎群や通常経過群には各々1例のみであり, 1896塩基のGからAへ変異には肝炎の劇症化に関与していると考えられた. core promoter領域の1762と1764塩基のdouble mutationは1896塩基の変異を認める例に多く, その単独例は劇症肝炎群中にはなく, 重症肝炎群と通常経過群に各々1例ずつであった. 結語:今回の検討ではpre-C領域の28番目の停止コドンへの変異はcore promoter領域の変異に比べ, 肝炎の劇症化の発生に関連が深いことが示唆された. 今後, 急性肝炎重症化の機序解明のためには, HBV遺伝子の他の領域の解析も必要と思われる. |
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ISSN: | 0375-9172 |