B-13. 胸部領域におけるコーンビームCTの臨床経験
背景:胸部疾患の画像診断においてX線CTは極めて重要な手段であるが, 従来のCT装置は2次元断層像が主体であり, 特に体軸方向の空間分解能に関しては問題点が指摘されている. コーンビームCTは大視野のX線検出器を採用しているため, 短時間で広範な領域を撮像でき, しかも円錐状のビームから立方格子点のデータを収集するため, 真の3次元画像が得られる新しいタイプのX線画像診断装置である. 目的:胸部領域におけるコーンビームCTの臨床診断上の安全性, および有効性についての検討を行うこと. 方法:撮像に同意の得られた, 胸部に疾患を有する患者7例に対してコーンビームCTを撮像し, ほぼ同時期に得られ...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1999, Vol.114 (6), p.278-278 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景:胸部疾患の画像診断においてX線CTは極めて重要な手段であるが, 従来のCT装置は2次元断層像が主体であり, 特に体軸方向の空間分解能に関しては問題点が指摘されている. コーンビームCTは大視野のX線検出器を採用しているため, 短時間で広範な領域を撮像でき, しかも円錐状のビームから立方格子点のデータを収集するため, 真の3次元画像が得られる新しいタイプのX線画像診断装置である. 目的:胸部領域におけるコーンビームCTの臨床診断上の安全性, および有効性についての検討を行うこと. 方法:撮像に同意の得られた, 胸部に疾患を有する患者7例に対してコーンビームCTを撮像し, ほぼ同時期に得られた従来型CT画像と比較検討を行った. 安全性については問題点の有無を記録し, 有効性については3名の放射線科医によって5段階評価が行われた. 結果:安全性については全例問題を認めなかった. 有効性については, コーンビームCTが従来型CTに対して優ると評価した症例が0例, やや優るが3例, 同等2例, やや劣る1例, 劣る1例であった. やや優るとした3例は, いずれも腫瘍の進展範囲や間質性変化による肺野の濃度差を, とくに頭尾方向について明瞭に描出できた点が評価された. 一方, 劣るとした1例は, 肺底区の肺内転移巣が撮像範囲外となり描出できなかった症例であり, やや劣るとした1例は, 微細病変が描出困難であった症例であった. 結論:コーンビームCTの利点としては, 腫瘍の局在および進展様式が矢状断, 冠状断などで描出でき, 頭尾方向への病変の範囲や分布を明瞭に描出できることがあげられた. 欠点としては, 撮像範囲が限定されるため, 胸郭全体を描出できないことがあることと, 濃度および空間分解能に限界があるため, 微細病変や縦隔病変の描出が困難であることがあげられた. 今後は, 濃度, 空間分解能の向上および, 理論的には可能である任意断面での画像再構成が望まれる. |
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ISSN: | 0375-9172 |