5-3. 白内障等手術における循環器動態の変化

はじめに:東洋眼科医院沼南分院が1996年10月に開院された. その後1998年4月までに行われた眼科手術における術前・術中・術後の循環器動態の変化を報告する. 対象:当院において手術を行った白内障180例(84.1%), 翼状片22例(10.2%), 腫瘤5例, 内反症3例, 緑内障2例, その他2例の男性74例(34.5%), 女性140例(65.4%), 平均年齢70.9±10.8の計214例である. 成績:1. 術前状況;1)生化学検査の異常はBS 32例(14.9%), GOT 15例(7%), GPT 10例, HCV 8例, γ-GTP 7例, その他17例の計89例(41.5%...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1999, Vol.114 (2), p.118-119
Hauptverfasser: 宮地直丸, 棚橋雄平, 棚橋寧子, 土田眞知子, 中村静子, 下村洋介, 中川俊佑, 横山奈津美, 木村妙子, 棚橋義国, 中川幸恵, 石井悟, 鈴木徳平, 久保木正, 栃久保哲男, 河本道次, 小池美香子, 飯野直樹, 橋本浩隆
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:東洋眼科医院沼南分院が1996年10月に開院された. その後1998年4月までに行われた眼科手術における術前・術中・術後の循環器動態の変化を報告する. 対象:当院において手術を行った白内障180例(84.1%), 翼状片22例(10.2%), 腫瘤5例, 内反症3例, 緑内障2例, その他2例の男性74例(34.5%), 女性140例(65.4%), 平均年齢70.9±10.8の計214例である. 成績:1. 術前状況;1)生化学検査の異常はBS 32例(14.9%), GOT 15例(7%), GPT 10例, HCV 8例, γ-GTP 7例, その他17例の計89例(41.5%)である. 2)心電図異常は右脚ブロック13例, 左室肥大12例, 虚血性変化10例, その他18例の計53例(24.7%)である. 3)治療中は糖尿病3例, 高血圧症2例, 気管支喘息2例, 虚血性心疾患2例, その他4例の計13例(6.1%)である. 2. 術中・術後状況;1)手術直前と術中の高血圧は34例(16.1%), 低血圧2例, 徐脈2例が認められた. しかし, 3~4時間後には改善した. 2)心電図では心室性期外収縮4例, 上室性期外収縮3例, 虚血性変化3例, 軽度心房細動2例, 1度房室ブロック2例, の計14例(6.6%)の異常を認めたが, 術後数時間で消失した. しかし, 1度房室ブロック2例はさらにII度となり徐脈と低血圧を生じ, 処置を必要とした. 3)術後の眼圧亢進や眼痛など著明な眼科所見は認められなかった. 考察:1)血圧の上昇は手術直前より30~50mmHgの昇圧を認めている, そして術中・術後におよんでいる. しかし, 200mmHg以上を示しても頭痛, めまいやしびれ, 麻痺などの脳神経症状は認められなかった. これらの一過性の高血圧は術前のストレスによる交感神経の緊張で, 著明な心拍数の増加や脳血管血流増加とは思われない. なお, 200mmHg以上の場合はCa拮抗剤を投与して降圧させた. 2)心電図変化は術中に期外収縮やST低下を認めたが, 臨床症状は出現せず術後短時間で消失した. しかし, 2例のPQ延長例は術中にさらに徐脈と低血圧を示したが, 処置を行い改善した. これは術中の眼球圧迫状態の出現によると思われる. 3)その他生化学検査の異常例の影響や治療中疾患の変化は認められなかった. まとめ:1. 白内障手術をおもに214例の眼科手術を施行した. 2. 術前・術中・術後においては一過性の高血圧が34例(16.1%)と期外収縮, ST低下, 徐脈, 低血圧などが若干認められた. 3. 術中・術後における全身状態や合併症などは認められなかった.
ISSN:0375-9172