29. 閉塞性肥大型心筋症にDDD型ペースメーカー植え込みを行った1症例

薬物療法抵抗性の閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対して心房心室同期ペーシング(DDD pacing)の有効性が報告されている. 今回, 若年のHOCMにDDDペースメーカーを植え込み, 自覚症状の消失, 血行動態の改善を認めたので報告する. 症例は39歳男性. 35歳時に心電図異常を指摘され, 精査のため当科受診. 心エコー, 心臓カテーテル検査にて, 非閉塞性肥大型心筋症と診断し, 外来フォローしてきた. 平成8年より息切り, 胸部圧迫感, 動悸を自覚するようになり, 再度, 検査を行ったところ, 僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)左室内圧較差50mmHgを認め, HOCMへの移行例と診断した...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1997, Vol.112 (6), p.763-763
Hauptverfasser: 後藤義久, 今原佐知子, 瀧川和俊, 我妻賢司, 山崎辰男, 三穂乙哉, 吉川誠, 外丸晃久, 望月正武
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:薬物療法抵抗性の閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対して心房心室同期ペーシング(DDD pacing)の有効性が報告されている. 今回, 若年のHOCMにDDDペースメーカーを植え込み, 自覚症状の消失, 血行動態の改善を認めたので報告する. 症例は39歳男性. 35歳時に心電図異常を指摘され, 精査のため当科受診. 心エコー, 心臓カテーテル検査にて, 非閉塞性肥大型心筋症と診断し, 外来フォローしてきた. 平成8年より息切り, 胸部圧迫感, 動悸を自覚するようになり, 再度, 検査を行ったところ, 僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)左室内圧較差50mmHgを認め, HOCMへの移行例と診断した. β-blocker, Ca拮抗剤等の内服治療では症状の改善がみられないため, informed consentを得たうえでDDDペースメーカーを植え込んだ. ペースメーカープログラムに際しては心エコー検査を利用し, 左室流出路圧較差を最小にし, かつ大動脈圧を低下させないAV delayを設定した. これにより, 自覚症状は著明に改善し, 外来で良好な経過を得ている. 従来, 薬剤治療抵抗性のHOCMに対しては, 心室中隔心筋切開, 切除術と僧帽弁置換術が行われてきたが, その成績は必ずしも良くない. 本症において, HOCMの左室流出路閉塞の解除にDDD pacingが有効であった. ペースメーカー療法は, 薬剤抵抗性のHOCMに対して, 考慮すべき有用な治療法であると考えられる.
ISSN:0375-9172