肥大型心筋症の局所左心機能と組織所見に関する検討
「I. 緒言」肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy, 以下HCM)は左室壁の不均一な肥大を特徴とし拡張機能障害, 正常な左室収縮能を基本病態とする特発性の疾患である1). 拡張機能障害により左室充満が障害され, 1回拍出量の減少, 左室充満圧の上昇とそれによる冠微小循環障害が惹起される. 易疲労感, 呼吸困難, 狭心痛等の臨床症状にはこれらの要因が深く関与していると考えられており, 現在までHCMの拡張機能障害に関して多くの研究報告がされてきた2)-4). この拡張機能障害の成因に関してはCa代謝の異常5)6), 心機能の局所不均一性等による左室弛緩の障害7),...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1997-05, Vol.112 (3), p.389-398 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 緒言」肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy, 以下HCM)は左室壁の不均一な肥大を特徴とし拡張機能障害, 正常な左室収縮能を基本病態とする特発性の疾患である1). 拡張機能障害により左室充満が障害され, 1回拍出量の減少, 左室充満圧の上昇とそれによる冠微小循環障害が惹起される. 易疲労感, 呼吸困難, 狭心痛等の臨床症状にはこれらの要因が深く関与していると考えられており, 現在までHCMの拡張機能障害に関して多くの研究報告がされてきた2)-4). この拡張機能障害の成因に関してはCa代謝の異常5)6), 心機能の局所不均一性等による左室弛緩の障害7), または間質線維化, 心筋肥大, 心筋の配列異常等の組織学的異常による左室stiffness増加が主な成因として知られている8)9). HCMにおいては心肥大, 心機能の異常, 組織学的異常は心臓にび漫性に発生するものではなく明らかな局所不均一性があり10), 心機能と組織の関連を詳細に検討する場合局所機能と局所形態を対比検討させる必要があると考えられるが, 現在まで全体の心機能と組織像との関連を検討した報告しか見受けられない. |
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ISSN: | 0375-9172 |