3-5. 食道悪性狭窄症例に対する内視鏡的治療の検討-特にprosthesisとmetallic stentを比較して
目的:切除不能進行食道癌症例に対する姑息的治療として, これまでprosthesisが用いられてきたが, 1996年3月より金属ステントの食道への使用が保険診療として認められたため, 金属ステントが盛んに用いられるようになりその有用性についての報告例をみる. しかしその治療効果についての明確な検討は十分なされていないのが現状である. そこで今回われわれはprosthesisとmetallic stentを使用した症例を比較することで, metallic stentの有用性について検討したので報告する. 対象:1994年4月~1996年6月に当科で経験した切除不能進行食道癌症例12例(prost...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1997, Vol.112 (2), p.340-341 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:切除不能進行食道癌症例に対する姑息的治療として, これまでprosthesisが用いられてきたが, 1996年3月より金属ステントの食道への使用が保険診療として認められたため, 金属ステントが盛んに用いられるようになりその有用性についての報告例をみる. しかしその治療効果についての明確な検討は十分なされていないのが現状である. そこで今回われわれはprosthesisとmetallic stentを使用した症例を比較することで, metallic stentの有用性について検討したので報告する. 対象:1994年4月~1996年6月に当科で経験した切除不能進行食道癌症例12例(prosthesis症例7例, metallic stent症例5例)を対象とした. 冶療後の平均生存日数はprosthesis症例63.7日(28~92日), metallic stent症例137.3日(128~146日)で, metallic stent症例の方が有意に延命していた. prosthesis症例の主な死因は吐血で, 腫瘍の圧迫壊死による大動脈への穿通であった. metallic stent症例では吐血は認められなかった. 考察:prosthesisの材質はシリコンであるが, 挿入直後より圧迫感, 違和感が強く, 気管, 大動脈などの周囲臓器への圧力が強いものと考えられ, 腫瘍の圧迫壊死による大動脈への穿通が生じる. このような穿通によって生じた吐血の対策法に有効なものはなく, 肝, 肺, 腎などの他臓器が健全であったとしても致命的となる. 一方, 腫瘍の圧迫壊死が生じにくいmetallic stentの使用は, 全身管理を慎重に行えば, 腫瘍による狭窄が改善されるばかりでなく, 延命効果が得られるものと考えられた. |
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ISSN: | 0375-9172 |