4-2. 当科における嚥下障害の評価とアプローチ第2報

脳血管障害急性期には約30%~60%と高率に嚥下障害を合併するといわれており, 経口摂取開始には慎重な判断を必要とする. 人間の口から食事をとるという基本的な欲求を満たすことは重要なことであり, また誤嚥性肺炎や窒息という生命の危険に直結する場面も考えておかなければならない. 当科においては嚥下障害を合併していると判断した場合, ほぼ全例にvideofluorography略してVFと呼ばれる嚥下造影検査で評価し, 各患者に合わせたアプローチを行っている. 嚥下障害を疑わせるポイントおよびVFの概要については前回の成医会にて第一報として紹介を行ったため今回は実際の嚥下障害に対するアプローチの仕...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1997, Vol.112 (2), p.321-322
Hauptverfasser: 武原挌, 米本恭三, 宮野佐年, 小林一成, 杉本淳, 渡辺修, 星野寛倫, 真塩清, 堀内博人, 冨田祐司, 長谷川千恵子, 矢崎志保子, 早川智子, 庄司一枝, 大川武
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:脳血管障害急性期には約30%~60%と高率に嚥下障害を合併するといわれており, 経口摂取開始には慎重な判断を必要とする. 人間の口から食事をとるという基本的な欲求を満たすことは重要なことであり, また誤嚥性肺炎や窒息という生命の危険に直結する場面も考えておかなければならない. 当科においては嚥下障害を合併していると判断した場合, ほぼ全例にvideofluorography略してVFと呼ばれる嚥下造影検査で評価し, 各患者に合わせたアプローチを行っている. 嚥下障害を疑わせるポイントおよびVFの概要については前回の成医会にて第一報として紹介を行ったため今回は実際の嚥下障害に対するアプローチの仕方を症例を通して報告した. 症例は48歳男性, 脳幹部梗塞によりWallenberg症候群を呈し, 四肢に麻痺は認めないもののの, 左顔面神経麻痺および嚥下障害が強く残った症例である. VFにてバリウム液の口腔から咽頭への漏出および輪状咽頭筋弛緩不全のための食道入口部貯留が認められた. このため口からの摂食は困難と判断した. 当症例に対して次に記すアプローチを行った. すなわち(1)感覚-運動のフィードバックを目的とした咽頭, 舌へのアイスマッサージ. (2)顔面筋へのマッサージ, 低周波, 自動運動訓練. (3)誤嚥予防のための空嚥下訓練, 咳嗽訓練. (4)代償的栄養補給法として間欠的-食道経管栄養法. (5)輪状咽頭筋弛緩不全に対してバルーンによる輪状咽頭筋拡張法である. 1カ月後のVFにて前記異常所見は改善し, 現在, 口より摂食可能となり順調に経過している. 嚥下障害には多くのスタッフとのチームアプローチが有効であり, またVFによる正確な嚥下障害評価は, 各患者の治療方針を決定するうえで大事な評価と考えられた.
ISSN:0375-9172