B-28. 脊髄披裂の病態に関する実験的研究
目的:3つの実験的研究を行い, 脊髄披裂の発生, 病態生理につき考察した. 方法:実験1)細胞間の認識障害を起こし神経管癒合不全を誘発するといわれている外因性レクチンを妊娠時期別に羊水腔内に注入し神経管披裂の発生の有無を検討した. 実験2)マウス胎生期神経管構成細胞を羊水存在下, 非存在下で培養し, 生細胞数を比較検討した. 実験3)先天性二分脊椎マウス脊髄被裂部におけるGFAP, NFPの発現状況を免疫組織学的に検討した. 結果:実験1)外因性レクチンの前神経孔閉鎖前投与では脳披裂のみを, 後神経孔閉鎖前投与では脊髄披裂のみを認めた. 奇形発生はレクチン投与時期に依存しており, 神経管癒合不...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1996, Vol.111 (6), p.779-780 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:3つの実験的研究を行い, 脊髄披裂の発生, 病態生理につき考察した. 方法:実験1)細胞間の認識障害を起こし神経管癒合不全を誘発するといわれている外因性レクチンを妊娠時期別に羊水腔内に注入し神経管披裂の発生の有無を検討した. 実験2)マウス胎生期神経管構成細胞を羊水存在下, 非存在下で培養し, 生細胞数を比較検討した. 実験3)先天性二分脊椎マウス脊髄被裂部におけるGFAP, NFPの発現状況を免疫組織学的に検討した. 結果:実験1)外因性レクチンの前神経孔閉鎖前投与では脳披裂のみを, 後神経孔閉鎖前投与では脊髄披裂のみを認めた. 奇形発生はレクチン投与時期に依存しており, 神経管癒合不全の原因として神経細胞間の認識障害に伴う一次的な現象が考えられた. 実験2)培養液中の羊水の濃度に依存して培養細胞の生着数の増加が確認され, 羊水が神経管構成細胞に何らかの影響を与えている可能性が考えられた. 実験:3)脊髄披裂例では妊娠16日より脊髄披裂部背側にGFAPの発現を認め, 日数の経過につれて内側へ増生した. それに対し, 正常例ではGFAPの発現を認めなかった. GFAPの発現状況より脊髄披裂部背側とくに羊水に直接接する部位よりgliosisが進行していると思われた. 結語:神経管癒合不全の原因の一つとして神経細胞間の認識障害に伴う一次的な閉鎖不全が考えられた. また, 脊髄披裂部の組織変化は開裂したneural placodeに羊水が作用するためのgliosisを主体とする二次的な現象が考えられ, この変化が不可逆的な神経機能障害に関与している可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0375-9172 |