B-10. 上部消化管内視鏡検査時の意識下鎮静法による呼吸循環器系への影響について
目的:上部消化管内視鏡検査時に意識下鎮静法としてベンゾジアゼピン系鎮静剤を投与し, その呼吸・循環動態への影響について検討した. 方法:ASA(American Society of Anestheologist)分類のリスク1に該当する入院患者20名を10名ずつ2群(鎮静剤投与群・非投与群)に分け血圧・脈拍数・呼吸数・経皮的動脈血酸素飽和度SpO2の各パラメーターについて経時的(投与前・投与後検査前・検査中・検査後)に計測した. 鎮静剤にはフルニトラゼパムを使用し体重あたり0.015mg/kgを臭化ブチルスコポラミン20mgと併せて約1分かけてゆっくり静注し, 至適鎮静状態の指標としてVer...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1996, Vol.111 (6), p.768-768 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:上部消化管内視鏡検査時に意識下鎮静法としてベンゾジアゼピン系鎮静剤を投与し, その呼吸・循環動態への影響について検討した. 方法:ASA(American Society of Anestheologist)分類のリスク1に該当する入院患者20名を10名ずつ2群(鎮静剤投与群・非投与群)に分け血圧・脈拍数・呼吸数・経皮的動脈血酸素飽和度SpO2の各パラメーターについて経時的(投与前・投与後検査前・検査中・検査後)に計測した. 鎮静剤にはフルニトラゼパムを使用し体重あたり0.015mg/kgを臭化ブチルスコポラミン20mgと併せて約1分かけてゆっくり静注し, 至適鎮静状態の指標としてVerill徴候(上眼瞼が半分下垂した眠たそうな表情)を全例に確認した. 結果:収縮期血圧の変動では, 投与群は投与後検査前には平均22mmHg低下しているが検査が始まるとスコープの喉頭に対する刺激で急激に上昇した. 非投与群も同様に上昇したが, 投与群の方が血圧上昇の変動幅は小さく検査中も安定して推移した. 検査終了後スコープを抜去すると生体に対する刺激が消失し両群とも血圧は低下したが特に投与群が著明に低下した. 脈拍数ではブスコパン投与後の脈拍数増加が投与群平均17bpm・非投与群平均33bpmと投与群の方が抑制され, 検査中は両群とも似たような変動を示したが検査終了後は投与群の方がより徐脈傾向にあった. 呼吸状態への影響を見てみると呼吸数は両群で差はなくSpO2では投与群にてやや低下を認めたが特に処置は必要としなかった. ただし投与後左側臥位から仰臥位にすると舌根沈下によりSpO2が90%を割り込むことがしばしばあり, 呼吸抑制と検査体位との関連が見られた. 結語:ベンゾジアゼピン系鎮静剤はスコープ挿入時の喉咽頭に対する刺激及び内視鏡検査に伴う各種ストレス・腹膜刺激による血圧・脈拍数の急激な変動を抑制し, 検査中の循環動態を安定して推移させたが, 検査後このようなストレスが消失すると逆に循環抑制が見られた. また呼吸抑制は患者の体位に関連して出現していた. |
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ISSN: | 0375-9172 |