4. リン酸コデインによる薬疹の1例

症例:34歳, 女, 7年前より心臓弁膜症にてフロセミド, ジゴキシン, 塩化カリウム除放剤を内服していた. 平成5年4月下旬より咳嗽のためテオフィリン, クレンブテロール, アンブロキソール, マレイン酸クロルフェニラミン配合ベタメサゾン, オザクレル, テルフェナジン, ミノサイクリンの投与を受けていた. 7月14日よりリン酸コデインを併用したところ, 翌日より下腹部から陰股部, 大腿にかけて粟粒大の蚤痒性点状紅斑が多数集簇し, 境界鮮明な紅色局面をなし, 小膿疱が多数生じていた. 手掌と足背には蚤痒を伴う浮腫性浸潤性紅斑が散在していた. 血液検査では白血球が10,100, 好酸球が520...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1996, Vol.111 (5), p.740-741
Hauptverfasser: 泉裕乃, 今村亜紀子, 江畑俊哉, 福代三根, 相沢浩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例:34歳, 女, 7年前より心臓弁膜症にてフロセミド, ジゴキシン, 塩化カリウム除放剤を内服していた. 平成5年4月下旬より咳嗽のためテオフィリン, クレンブテロール, アンブロキソール, マレイン酸クロルフェニラミン配合ベタメサゾン, オザクレル, テルフェナジン, ミノサイクリンの投与を受けていた. 7月14日よりリン酸コデインを併用したところ, 翌日より下腹部から陰股部, 大腿にかけて粟粒大の蚤痒性点状紅斑が多数集簇し, 境界鮮明な紅色局面をなし, 小膿疱が多数生じていた. 手掌と足背には蚤痒を伴う浮腫性浸潤性紅斑が散在していた. 血液検査では白血球が10,100, 好酸球が520/μlと高く, 血液生化学検査は正常範囲内, CRPは0.6と軽度上昇, IgEは680/μlと増加していた. 皮膚生検による病理組織所見では角層下に好中球を多数含む膿疱を認めた. 真皮浅層から中層にかけて血管周囲性, 介在性にリンパ球, 好酸球の浸潤を見た. 薬疹の疑い初めの3剤以外のすべての内服を中止したところ, 皮疹は3.4日で消退した. しかし咳嗽のため再度リン酸コデインを内服したところ同一部位に紅斑を生じた. よってリン酸コデインによる薬疹と診断した. パッチテストは陽性で小膿疱も見られた. Drug LSTは陰性であった. リン酸コデインによる薬疹の報告は少なく, 現在まで国内外合わせて14例である. 特異的と思われる臨床型は猩紅熱様皮疹型であり, 内服後通常1日以内に蚤痒を伴う帽針頭大紅色丘疹が多発, 癒合し境界鮮明な紅斑面を形成し, 小膿疱が多発して見られることもある. 好発部位は顔面, 頸部, 腋窩, 股部, 四肢関節屈曲部で, 時に高熱, 上気道の粘膜症状を伴うこともある. 自験例は下腹部から陰股部, 大腿に限局し, 表面に多数の小膿疱を発したことが特徴的であり, 限局性ではあるが, その皮疹形態より猩紅熱様皮疹型と考えた.
ISSN:0375-9172