15. 原発巣の確定に苦慮した転移性絨毛癌の1例

症例:39歳女性. 既往妊娠6(流産3)回. 95年2月に自然流産した後妊娠反応陰転化. 7月に再び不正性器出血. 貧血の精査にて指摘された胃潰瘍の生検にてGroup V(低分化腺癌)を検出. その後1ヵ月で多発肝転移巣が出現. 再び妊娠反応陽性(hCG強陽性)のため外妊が疑われ, 内膜掻爬にて変性胎盤成分を検出. 胃全摘術を施行. 病理所見:胃体中部前壁の直径35mmの隆起+陥凹性病変(5型). 組織学的に固有粘膜層のみ印環細胞を混じる低分化腺癌で, 粘膜下~漿膜直下は出血壊死を伴う絨毛癌が, 腺癌との境界部に充実性胞巣(低分化型腺癌)を認めた. 肝転移は絨毛癌成分のみ. リンパ節では絨毛癌...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1996, Vol.111 (2), p.261-262
Hauptverfasser: 宮沢善夫, 宍倉有里, 酒田昭彦, 竹内行浩, 梅沢敬, 戸田敏久, 木村絵里子, 新崎勤子, 武田淳史, 黒田徹, 関根達征
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例:39歳女性. 既往妊娠6(流産3)回. 95年2月に自然流産した後妊娠反応陰転化. 7月に再び不正性器出血. 貧血の精査にて指摘された胃潰瘍の生検にてGroup V(低分化腺癌)を検出. その後1ヵ月で多発肝転移巣が出現. 再び妊娠反応陽性(hCG強陽性)のため外妊が疑われ, 内膜掻爬にて変性胎盤成分を検出. 胃全摘術を施行. 病理所見:胃体中部前壁の直径35mmの隆起+陥凹性病変(5型). 組織学的に固有粘膜層のみ印環細胞を混じる低分化腺癌で, 粘膜下~漿膜直下は出血壊死を伴う絨毛癌が, 腺癌との境界部に充実性胞巣(低分化型腺癌)を認めた. 肝転移は絨毛癌成分のみ. リンパ節では絨毛癌に加え胎児性癌様の成分を認め, 一部は卵黄嚢腫を示した. 免疫組織化学的に, hCG-βはいずれの絨毛癌成分にも陽性. AFPは胎児性癌様の一部に陽性. 考察:通常の胃腺癌を胃粘膜に認め, 生殖器原発で高率にみる肺転移を認めないことから, 稀な胃原発の絨毛癌と確定した.
ISSN:0375-9172