6. 手関節に発生し手根骨破壊を呈した腱鞘巨細胞腫の1例

手関節に発生し手根骨への浸潤, 破壊を来した腱鞘巨細胞腫(以下GCTT)の1例を経験した. 症例は79歳女性で, 右手関節背側に弾性硬, 無痛性の腫瘤を主訴に来院. 単純X彫像にて舟状骨に透亮像を認め, MRI T2像にて同部に高信号を認めた. また, 血管造影, 骨シンチグラムでも腫瘍性病変が示唆されたため, 腫瘍切除術を施行した. 黄褐色の腫瘍が舟状骨を浸潤・破壊しており, 組織学的には, 組織球様細胞が胞巣状増殖しており, 破骨型巨細胞が混在していたが, 滑膜組織の絨毛状増殖はみられなかったため, 手関節に発生したGCTTと診断した. 現在GCTTは, 色素性絨毛結節性滑膜炎と本質的に同...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1996, Vol.111 (2), p.259-259
Hauptverfasser: 菅巌, 浅沼和生, 金尾豊, 小澤正宏, 大野直樹, 小島洋文, 国府田英雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:手関節に発生し手根骨への浸潤, 破壊を来した腱鞘巨細胞腫(以下GCTT)の1例を経験した. 症例は79歳女性で, 右手関節背側に弾性硬, 無痛性の腫瘤を主訴に来院. 単純X彫像にて舟状骨に透亮像を認め, MRI T2像にて同部に高信号を認めた. また, 血管造影, 骨シンチグラムでも腫瘍性病変が示唆されたため, 腫瘍切除術を施行した. 黄褐色の腫瘍が舟状骨を浸潤・破壊しており, 組織学的には, 組織球様細胞が胞巣状増殖しており, 破骨型巨細胞が混在していたが, 滑膜組織の絨毛状増殖はみられなかったため, 手関節に発生したGCTTと診断した. 現在GCTTは, 色素性絨毛結節性滑膜炎と本質的に同一病変とされているが, 臨床的, また組織学的に絨毛状構造がみられないことよりGCTTとするほうが適当であると考える. また, 本症例のように手関節発生の骨病変を伴うGCTTは, 本邦, 諸外国ともきわめて稀である.
ISSN:0375-9172