20. 分娩を契機にHELLP症候群の発症が疑われた2症例

HELLP症候群とは溶血, 肝酵素上昇, 血小板減少の3症状を来す妊娠中に発症する疾患で1982年に初めてWeinsteinらが発表した. 多くは妊娠中毒症に併発する. 時にはDICを合併し母体死亡に至ることもある重篤な疾患である. 本症は3症状のほか, 初発症状として上腹部痛, 悪心が見られることが多い. 今回我々は, 胎児仮死のため帝王切開を行い, その後の血液検査値よりHELLP症候群を疑った2症例を経験した. 症例1は33歳, 未経産, 妊娠37週に重症妊娠中毒症にて入院管理中, 突然に激しい上腹部痛を訴え, それに伴う児心音の低下を認め緊急帝王切開術施行. 術後, 肝酵素の上昇, 血...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1996, Vol.111 (2), p.252-252
Hauptverfasser: 江崎敬, 舞床和洋, 渡辺健志, 高梨裕子, 長尾充, 古賀良一, 岸野喜保, 恩田威一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:HELLP症候群とは溶血, 肝酵素上昇, 血小板減少の3症状を来す妊娠中に発症する疾患で1982年に初めてWeinsteinらが発表した. 多くは妊娠中毒症に併発する. 時にはDICを合併し母体死亡に至ることもある重篤な疾患である. 本症は3症状のほか, 初発症状として上腹部痛, 悪心が見られることが多い. 今回我々は, 胎児仮死のため帝王切開を行い, その後の血液検査値よりHELLP症候群を疑った2症例を経験した. 症例1は33歳, 未経産, 妊娠37週に重症妊娠中毒症にて入院管理中, 突然に激しい上腹部痛を訴え, それに伴う児心音の低下を認め緊急帝王切開術施行. 術後, 肝酵素の上昇, 血小板減少, 溶血を認めたためHELLP症候群を疑った. 症例2は32歳, 未経産, 妊娠中毒症の症状なし, 妊娠39週に分娩進行中に児心音低下を認め緊急帝王切開術施行, 術直後の血液検査にて肝酵素の上昇, 血小板数の低下, 溶血を認めHELLP症候群が疑われた. 以上, 多少の文献的考察を加えてここに報告する.
ISSN:0375-9172