B-5. 透析患者の胃・十二指腸におけるHelicobacter pyloriの役割
目的:螺旋状の形態を示すGram陰性短桿菌であるHelicobacter pylori(H. pylori)は胃炎や胃癌あるいは胃・十二指腸潰瘍との関連が明らかにされ, 現在その除菌治療が大きな問題となっている. 慢性腎不全透析患者では消化管病変の合併が多い. そこで我々は透析患者に胃・十二指腸病変が多いということに着目し, H. pyloriとの関連性を検討した. さらに除菌療法を試みたので報告する. 対象・方法:対象は消化器症状を有する透析患者60例と非腎不全患者45例である. 上部消化管内視鏡検査を施行し胃粘膜生検を幽門部, 体部大弯側より行った. 同時に胃液採取, 採血を施行した. 生...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1995, Vol.110 (6), p.877-877 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:螺旋状の形態を示すGram陰性短桿菌であるHelicobacter pylori(H. pylori)は胃炎や胃癌あるいは胃・十二指腸潰瘍との関連が明らかにされ, 現在その除菌治療が大きな問題となっている. 慢性腎不全透析患者では消化管病変の合併が多い. そこで我々は透析患者に胃・十二指腸病変が多いということに着目し, H. pyloriとの関連性を検討した. さらに除菌療法を試みたので報告する. 対象・方法:対象は消化器症状を有する透析患者60例と非腎不全患者45例である. 上部消化管内視鏡検査を施行し胃粘膜生検を幽門部, 体部大弯側より行った. 同時に胃液採取, 採血を施行した. 生検材料はウレアーゼテスト, 培養法, 鏡検法にてH. pyloriを同定した. 胃液はアンモニア濃度を酵素法にて測定し, 血液は尿素窒素, ガストリンを測定した. またH. pylori陽性患者14例にAMPC(アモキシシリン500 mg/day, 3週間), PPI(ランソプラゾール30 mg/day, 8週間), Plaunotol(ケルナック240 mg/day, 6カ月間)の併用による除菌療法を行い除菌の有無, 胃液中アンモニア濃度, 血清ガストリン値の推移および病変の治療経過等を検討した. 結果:1) H. pyloriの陽性頻度は透析患者50%と非腎不全患者58%に有意な差は認められなかった. 2) H. pylori陽性患者では陰性患者と比較すると胃液アンモニア濃度, 血中ガストリン値が有意に高値であった. 3) H. pylori陽性の透析患者における胃液アンモニア濃度は非腎不全患者と比べて著しく高値であった. 4) H. pylori除菌療法は71.4%の患者で成功しそれらの症例では胃症状, 胃病変の改善が見られ, 胃液中アンモニア濃度, 血清ガストリン値の有意な低下を認めた. 結論:透析患者の胃・十二指腸病変の出現にはH. pyloriの関与が明らかであり, 抗菌薬を含む除菌治療は検討の価値がある. |
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ISSN: | 0375-9172 |