5-4. アトピー性皮膚炎患者に見られたステロイド外用剤による酒査皮様皮膚炎
近年, アトピー性皮膚炎に使用されるステロイド外用剤の副作用として, 特に成人の顔面, 頸部における紅斑が問題になっている. 今回, アトピー性皮膚炎, 脂漏性湿疹, 尋常性座瘡の診断でステロイド外用剤を3カ月間から長い患者で約7年間も使用した結果生じた酒鞁様皮膚炎, ステロイド座瘡の5症例を提示した. 酒鞁様皮膚炎の治療は, 白色ワセリン, 亜鉛華軟膏の外用剤と灼熱感, 掻痒感を抑えるために抗ヒスタミン剤, 精神安定剤などの内服薬を中心に行うが, 症状の改善が見られない時は免疫抑制剤を併用したり, 二次感染を併発した場合はイソジンゲルの外用, 抗生剤の内服もあわせて行う. ステロイド外用剤は...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1995, Vol.110 (2), p.322-322 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年, アトピー性皮膚炎に使用されるステロイド外用剤の副作用として, 特に成人の顔面, 頸部における紅斑が問題になっている. 今回, アトピー性皮膚炎, 脂漏性湿疹, 尋常性座瘡の診断でステロイド外用剤を3カ月間から長い患者で約7年間も使用した結果生じた酒鞁様皮膚炎, ステロイド座瘡の5症例を提示した. 酒鞁様皮膚炎の治療は, 白色ワセリン, 亜鉛華軟膏の外用剤と灼熱感, 掻痒感を抑えるために抗ヒスタミン剤, 精神安定剤などの内服薬を中心に行うが, 症状の改善が見られない時は免疫抑制剤を併用したり, 二次感染を併発した場合はイソジンゲルの外用, 抗生剤の内服もあわせて行う. ステロイド外用剤は使用方法さえ間違えなければ, アトピー性皮膚炎をはじめとする, 炎症性皮膚疾患に極めて有効で実地医療にかかすことのできない薬剤である. しかし安易に使用すると酒鞁様皮膚炎のような重大な副作用を生じ, 特にそれが顔面の場合には患者の精神的苦痛は量り知れないものがあると思われる. 根本的に治す治療法がないアトピー性皮膚炎にとって, ステロイドはあくまでも対症療法にすぎず, 個々の患者の問題点を1つずつ丹念に解決していくことが最良の治療法と考えられる. |
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ISSN: | 0375-9172 |