肝切除前後における門脈血流量の変動に関する実験的検討

[I.緒言]近年, 肝切除術は安全に施行されるようになってきたが, これは肝切除手技の向上とともに術前肝予備能の把握が良好となり, 切除範囲の決定が適切に行われるようになってきたためと考えられる. また術後の管理に関しても, 肝エネルギー代謝の面からの検討も行われ術後早期に病態の把握が可能となり, その対処が的確に施行されるようになったことも重要な因子である. 肝切除後の肝再生が迅速に行われればそれだけ術後の経過は良好になるはずである. 肝再生機転にはいろいろなhepatotrophic factor1)-6)が関与しているが, その中で肝血流の変動もその1つと考えられている. 一般的に肝血流...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1994-05, Vol.109 (3), p.557-569
Hauptverfasser: 秋田治之, 青木照明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[I.緒言]近年, 肝切除術は安全に施行されるようになってきたが, これは肝切除手技の向上とともに術前肝予備能の把握が良好となり, 切除範囲の決定が適切に行われるようになってきたためと考えられる. また術後の管理に関しても, 肝エネルギー代謝の面からの検討も行われ術後早期に病態の把握が可能となり, その対処が的確に施行されるようになったことも重要な因子である. 肝切除後の肝再生が迅速に行われればそれだけ術後の経過は良好になるはずである. 肝再生機転にはいろいろなhepatotrophic factor1)-6)が関与しているが, その中で肝血流の変動もその1つと考えられている. 一般的に肝血流量は多い方が良いと考えられがちではあるが, back flowの問題もあり, 臓器にとってはうっ血は細胞破壊など重大な障害になると考えられる. したがって肝切除後の肝血流量とくに門脈血流量を単に増加させれば肝再生にとって良好な結果をもたらすかどうかは問題の残るところである.
ISSN:0375-9172