溶血性尿毒症症候群を併発した悪性高血圧の1例

「I. はじめに」 溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome)は, 急性腎不全, 血小板減少, 細血管障害性溶血性貧血を, 三徴とする症候群であり, Gasserらにより1955年最初に報告された1). おもに乳幼児を侵す疾患とされ, 成人例では分娩後2)や経口避妊薬服用後, 抗腫瘍剤3)やサイクロスポリン使用時4)などの報告がある. 治療として抗凝固療法が有効とされ, 一部血漿交換やPGI2の投与が有効という可能性も示唆されている5). また悪性高血圧症の基礎疾患としては本態性高血圧症, 慢性糸球体腎炎, 腎血管性高血圧症, 膠原病, 内分泌疾患等が挙げられるが...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1994-03, Vol.109 (2), p.303-307
Hauptverfasser: 窪倉俊隆, 成宮学, 谷口郁夫, 磯貝行秀, 城謙輔, 酒田昭彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. はじめに」 溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome)は, 急性腎不全, 血小板減少, 細血管障害性溶血性貧血を, 三徴とする症候群であり, Gasserらにより1955年最初に報告された1). おもに乳幼児を侵す疾患とされ, 成人例では分娩後2)や経口避妊薬服用後, 抗腫瘍剤3)やサイクロスポリン使用時4)などの報告がある. 治療として抗凝固療法が有効とされ, 一部血漿交換やPGI2の投与が有効という可能性も示唆されている5). また悪性高血圧症の基礎疾患としては本態性高血圧症, 慢性糸球体腎炎, 腎血管性高血圧症, 膠原病, 内分泌疾患等が挙げられるが, 半数近くが本態性高血圧症によるもので, 二次性高血圧のうちでは慢性糸球体腎炎によるものが多いとされている6). 我々は今回, 悪性高血圧, 脳出血に溶血性尿毒症症候群(以下HUSと略す)を併発した症例を経験したので報告する.
ISSN:0375-9172