Flow cytometryによる胃癌細胞核DNA量測定の臨床的意義に関する研究
「緒言」細胞の増殖に深く関与するDNAの量的異常を生物学的悪性度の指標ととらえる試みは, 従来より多くあり諸種の癌において検討されてきた1)~5). 胃癌においても, 癌細胞核DNA量が予後の指標となりうるとする報告が多い6)~10). 近年のflow cytometryの開発・発展により細胞核DNA量の測定が簡便・客観的になり, 精度も向上し臨床応用が期待されている. しかし, より確実な試料調整法の確立や, DNA histogramの評価方法といった技術的問題に加え, DNA pattern heterogeneityなど, さらに検討すべき問題は多い. また, DNA量測定の有用性自体...
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1991-07, Vol.106 (4), p.707-716 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」細胞の増殖に深く関与するDNAの量的異常を生物学的悪性度の指標ととらえる試みは, 従来より多くあり諸種の癌において検討されてきた1)~5). 胃癌においても, 癌細胞核DNA量が予後の指標となりうるとする報告が多い6)~10). 近年のflow cytometryの開発・発展により細胞核DNA量の測定が簡便・客観的になり, 精度も向上し臨床応用が期待されている. しかし, より確実な試料調整法の確立や, DNA histogramの評価方法といった技術的問題に加え, DNA pattern heterogeneityなど, さらに検討すべき問題は多い. また, DNA量測定の有用性自体について, これを疑問視する報告もある11)~13). 今回, これらの問題を検証し臨床応用の可否を明らかにすることを目的に, 胃癌を対象に用いて細胞核DNA量を測定し検討を加えた. 「対象」1977年1月より1987年12月までの11年間に当科で手術を施行した胃癌症例878例のうち, 背景としての病理組織学的因子が明らかで, 癌浸潤が漿膜層表面を越える, すなわち, 深達度se(serosal exposed)以上の進行胃癌(以下se胃癌)治癒切除例141例を対象とした. |
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ISSN: | 0375-9172 |