自律神経伝達物質による温血動物心室筋の収縮・弛緩制御と細胞内カルシウム動態調節機構に関する研究

「I. 緒言」生体がおかれている状態に適応して心臓が血液を拍出するには, 心臓の収縮と拡張(弛緩)が円滑に行われなければならない. 血液の拍出にもっとも関係の深い心室筋の収縮・弛緩は細胞内カルシウムイオン(Ca2+)濃度変化により直接制御されているが, また同時に自律神経系の修飾も受けている1). 自律神経による心室筋収縮の修飾は, ベーターおよびムスカリン受容体を介しており, 各々の受容体刺激により変化する細胞内第二次情報伝達物質により発現される. これまで, ベーター受容体刺激による細胞内Ca2+動態と収縮・弛緩の変化は, 細胞内cyclic AMP濃度上昇を介して, 1)Ca2+チャンネ...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1991-07, Vol.106 (4), p.687-705
Hauptverfasser: 本郷賢一, 岡村哲夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」生体がおかれている状態に適応して心臓が血液を拍出するには, 心臓の収縮と拡張(弛緩)が円滑に行われなければならない. 血液の拍出にもっとも関係の深い心室筋の収縮・弛緩は細胞内カルシウムイオン(Ca2+)濃度変化により直接制御されているが, また同時に自律神経系の修飾も受けている1). 自律神経による心室筋収縮の修飾は, ベーターおよびムスカリン受容体を介しており, 各々の受容体刺激により変化する細胞内第二次情報伝達物質により発現される. これまで, ベーター受容体刺激による細胞内Ca2+動態と収縮・弛緩の変化は, 細胞内cyclic AMP濃度上昇を介して, 1)Ca2+チャンネル, 2)筋小胞体のCa2+取り込み速度, 3)収縮蛋白系のCa2+感受性, および4)クロスブリッジ回転速度が修飾されることにより説明されている2)~5). 一方, 心室筋のムスカリン受容体刺激は, Ca2+電流6)と, 収縮時細胞内Ca2+濃度変化(Ca2+ transient)および収縮張力を抑制し7), これらの効果は, ベーター受容体刺激時に顕著に現れることが知られている(accentuated antagonism)1).
ISSN:0375-9172