B型肝炎ウイルスキャリアーの病態進展における臨床免疫学的研究
[I.緒言]分子生物学の発達によりB型肝炎ウイルスに関しては, 臨床的にも感染状態, ウイルス増殖状態などの把握が容易かつ確実になされるようになってきている1)2). しかし肝炎ウイルスの感染と肝細胞障害との関連については, いまだ十分明らかにされていえるとはいえず, 免疫応答の核ともいえる対応抗原についても現状では不明のままである. ウイルス肝炎の治療にあたっては従来, 食事療法3), 肝庇護療法4)が中心となっていたが, 肝炎ウイルス感染状態における免疫応答が確実に把握できれば, 現在臨床応用が可能となっている各種免疫調節剤をより有効に用いて, より効果的な治療法を確立することができる....
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Veröffentlicht in: | 東京慈恵会医科大学雑誌 1989-05, Vol.104 (3), p.565-583 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [I.緒言]分子生物学の発達によりB型肝炎ウイルスに関しては, 臨床的にも感染状態, ウイルス増殖状態などの把握が容易かつ確実になされるようになってきている1)2). しかし肝炎ウイルスの感染と肝細胞障害との関連については, いまだ十分明らかにされていえるとはいえず, 免疫応答の核ともいえる対応抗原についても現状では不明のままである. ウイルス肝炎の治療にあたっては従来, 食事療法3), 肝庇護療法4)が中心となっていたが, 肝炎ウイルス感染状態における免疫応答が確実に把握できれば, 現在臨床応用が可能となっている各種免疫調節剤をより有効に用いて, より効果的な治療法を確立することができる. 本研究では種々のB型肝炎ウイルス関連マーカーが測定でき臨床病理学的に診断の確定した症例について, その免疫動態を検討すると共に, ウイルス感染細胞の破壊に直接的役割を演じるT細胞の増殖因子であるinterleukin 2(IL-2)5)に対する反応性についても解析を加え, さらにこのIL-2を用いたB型慢性肝炎の治療法について新たな知見を得たので報告する. |
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ISSN: | 0375-9172 |