ヒトT細胞subpopulationおよびα-naphthyl acetate esterase酵素活性に関する研究 第1編・臍帯血・新生児末梢血Tリンパ球について

「I. 緒言」新生児の免疫系は, 特殊な状態と考えられる. それは, 胎生期には母体という異質の個体と共存しており, 分娩・出産を経て, 外界でいろいろな抗原刺激を受け, それらを処理しながら発達していく最初の大切な時期である. 母体の免疫反応を阻止する因子としては胎児のリンパ球と, それに由来する液性因子が考えられる. Oldostone 1)やGupta 2)らは, suppressor T細胞と相関があると考えられているTγ細胞が臍帯血には成人末梢血の約1.5~3倍存在することを報告しており, 胎児・新生児期には, suppressor T細胞の優位が考えられている. それは, 母体の免...

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Veröffentlicht in:東京慈恵会医科大学雑誌 1985, Vol.100 (3), p.503-511
Hauptverfasser: 瀬川孝昭, 和田紀之, 久保政勝, 前川喜平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」新生児の免疫系は, 特殊な状態と考えられる. それは, 胎生期には母体という異質の個体と共存しており, 分娩・出産を経て, 外界でいろいろな抗原刺激を受け, それらを処理しながら発達していく最初の大切な時期である. 母体の免疫反応を阻止する因子としては胎児のリンパ球と, それに由来する液性因子が考えられる. Oldostone 1)やGupta 2)らは, suppressor T細胞と相関があると考えられているTγ細胞が臍帯血には成人末梢血の約1.5~3倍存在することを報告しており, 胎児・新生児期には, suppressor T細胞の優位が考えられている. それは, 母体の免疫能を抑制し, 母児間において合目的にGVH反応の阻止に関与していることを示唆している. 今回著者らは, 新生児期の免疫能を知る目的で, 同一症例にて臍帯血および新生児の末梢血リンパ球のTγ, Tμ細胞を測定し, 同時にCooper 3)らが, Tμ細胞と相関の深いと報告しているα-naphthyl acetate esterase陽性T細胞(以下ANAE陽性T細胞)について検討を行なった.
ISSN:0375-9172