人工心肺開始直後に人工肺内圧上昇を認めたが, 人工肺交換を必要としなかった一症例

「要旨」 人工心肺は体外循環を施行するため, ヘパリンによって抗凝固管理するのが一般的である. 過去の報告からヘパリンを投与しても活性化凝固時間が延長しづらいヘパリン抵抗性を有する患者が一定数存在することが知られている. 我々は脂質異常を認めた低心機能冠動脈疾患に対し, 人工心肺補助下冠動脈バイパス手術を施行した. 本症例では術前アンチトロンビンIII活性が正常値であったが, ヘパリン抵抗性を認めた(ヘパリン457U/kg投与後の活性化凝固時間430秒). 人工心肺開始直後数十秒で人工肺手前圧の上昇(最大388mmHg)を認めた. 血液希釈とヘパリン投与により人工心肺開始後5分で人工肺手前圧は...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2021-12, Vol.48 (4), p.290-297
Hauptverfasser: 長嶋耕平, 石川慧介, 福田達也, 沼里淳平, 岡本遼, 清水大輔, 上松幸子, 加納寛也, 中原亮, 松山重文
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 人工心肺は体外循環を施行するため, ヘパリンによって抗凝固管理するのが一般的である. 過去の報告からヘパリンを投与しても活性化凝固時間が延長しづらいヘパリン抵抗性を有する患者が一定数存在することが知られている. 我々は脂質異常を認めた低心機能冠動脈疾患に対し, 人工心肺補助下冠動脈バイパス手術を施行した. 本症例では術前アンチトロンビンIII活性が正常値であったが, ヘパリン抵抗性を認めた(ヘパリン457U/kg投与後の活性化凝固時間430秒). 人工心肺開始直後数十秒で人工肺手前圧の上昇(最大388mmHg)を認めた. 血液希釈とヘパリン投与により人工心肺開始後5分で人工肺手前圧は低下し, 人工肺交換を必要としなかった. 人工肺内圧上昇予防にはリスク因子(冠動脈疾患, 脂質異常, 男性, プロポフォールの使用)を把握し, 抗凝固を確実に行うことが重要である. 更に人工肺交換基準を定め, 不可逆的変化の場合は人工肺交換できるように, 人工肺交換基準と交換手順などの対応を確認しておくことが必要である.
ISSN:0912-2664