急性A型大動脈解離に合併した内頸動脈血流障害に対する早期脳再灌流法とrSO2測定の有用性について

「要旨」急性A型大動脈解離における脳灌流障害合併例は極めて予後不良であり早期発見, 早期脳再灌流が重要である. 術前より進行性意識障害の増悪を認め, 手術に先立ち早期脳再灌流法 (brain saving system : BSS) を施行した3症例と早期再灌流を施行しなかった3症例について比較検討した. 急性A型大動脈解離の患者で, 頸動脈エコーや術前コンピューター断層撮影 (computed tomography : CT) によって内頸動脈の血流が阻害され脳局所酸素飽和度 (rSO2) が左右差を認めた3症例で大腿動脈脱血-右内頸動脈送血の一時的灌流を施行することにより脳虚血の軽減を図っ...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2018-03, Vol.45 (1), p.37-41
Hauptverfasser: 加納寛也, 大北裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」急性A型大動脈解離における脳灌流障害合併例は極めて予後不良であり早期発見, 早期脳再灌流が重要である. 術前より進行性意識障害の増悪を認め, 手術に先立ち早期脳再灌流法 (brain saving system : BSS) を施行した3症例と早期再灌流を施行しなかった3症例について比較検討した. 急性A型大動脈解離の患者で, 頸動脈エコーや術前コンピューター断層撮影 (computed tomography : CT) によって内頸動脈の血流が阻害され脳局所酸素飽和度 (rSO2) が左右差を認めた3症例で大腿動脈脱血-右内頸動脈送血の一時的灌流を施行することにより脳虚血の軽減を図った. これに対し脳血流障害を認めながらも術前より意識状態正常であり早期BSSを施行しなかった3例のうち, rSO2の左右差を認めた2症例は広範囲脳梗塞を認め, 脳浮腫を合併し開頭減圧を行ったが死亡した. BSSを施行した3例は, 術後合併症なく意識清明で軽快退院となった. これらの結果より, 術前CTや頸動脈エコーにより脳血流障害を認めrSO2で左右差を確認した症例では早期脳再灌流の有用性が示唆された.
ISSN:0912-2664