大動脈ステントグラフト内挿術中の体外循環の経験 - 脳分離循環とA-V shunt filterの2つの体外循環について

「要旨」当院は2007年より大動脈ステントグラフト治療を開始し, 2011年からは適応の拡大や合併症軽減を図る目的から, 様々な体外循環を用いたステントグラフト内挿術を開始したので報告する. 弓部大動脈瘤に対して弓部3分枝をすべてカバーするようにステントグラフトを留置する症例では, 一時的に閉鎖回路を用いて脳循環のみを代行する脳分離循環を行い, 留置したステントグラフトに穴を開けて自己心からの脳血流が再開するまで体外循環を用いる. また, 粥腫が散在する大動脈にステントグラフトを留置する症例では手技中に粥腫が剥がれて塞栓症を起こす危険性がある. そのため, FA-FVをシャントさせて回路に組み...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2017-12, Vol.44 (4), p.403-406
Hauptverfasser: 溝口貴之, 小田款文, 荒倉真凪, 萩原直樹, 本多俊治, 亀井律孝, 本郷哲央, 和田朋之, 宮本伸二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」当院は2007年より大動脈ステントグラフト治療を開始し, 2011年からは適応の拡大や合併症軽減を図る目的から, 様々な体外循環を用いたステントグラフト内挿術を開始したので報告する. 弓部大動脈瘤に対して弓部3分枝をすべてカバーするようにステントグラフトを留置する症例では, 一時的に閉鎖回路を用いて脳循環のみを代行する脳分離循環を行い, 留置したステントグラフトに穴を開けて自己心からの脳血流が再開するまで体外循環を用いる. また, 粥腫が散在する大動脈にステントグラフトを留置する症例では手技中に粥腫が剥がれて塞栓症を起こす危険性がある. そのため, FA-FVをシャントさせて回路に組み込んだ動脈フィルタでトラップして塞栓症を予防するA-V shunt filterを用いる. これらの体外循環を用いることで合併症は軽減し, 安全に治療が可能であった. このようにステントグラフト治療困難な症例に対して体外循環を用いることで適応の拡大, 合併症のリスクが高い症例にもステントグラフト治療が可能となった. 今後, ステントグラフト治療の1つのツールとして体外循環が用いられ, 低侵襲治療に大きく貢献できていると考える.
ISSN:0912-2664