人工心肺を用いた心臓手術におけるボルベン(R)輸液6%使用の有無と腎機能, 出血量との関連に関する検討

「要旨」血漿増量剤で人工膠質液であるヒドロキシエチルデンプン (Hydroxyethyl Starch : HES) 製剤は, 循環血液量維持に重要な輸液剤として頻用されている. 人工心肺 (cardiopulmonary bypass : CPB) 中の輸液でも使用されるが, 以前より止血凝固能や腎機能への影響も懸念されている. 今回, CPB中のボルベン輸液6% (ボルベン) 使用, 未使用症例を経験したため, 使用群32例, 未使用32例において出血量や水分出納量 (I/Oバランス) の関連性を比較検討した. 腎機能への影響は人工心肺関連急性腎不全 (CPB-acute kidney i...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2017-12, Vol.44 (4), p.390-393
Hauptverfasser: 天内雅人, 佐藤貴彦, 本吉宣也, 南谷克明, 山崎大輔, 宗万孝次, 紙谷寛之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」血漿増量剤で人工膠質液であるヒドロキシエチルデンプン (Hydroxyethyl Starch : HES) 製剤は, 循環血液量維持に重要な輸液剤として頻用されている. 人工心肺 (cardiopulmonary bypass : CPB) 中の輸液でも使用されるが, 以前より止血凝固能や腎機能への影響も懸念されている. 今回, CPB中のボルベン輸液6% (ボルベン) 使用, 未使用症例を経験したため, 使用群32例, 未使用32例において出血量や水分出納量 (I/Oバランス) の関連性を比較検討した. 腎機能への影響は人工心肺関連急性腎不全 (CPB-acute kidney injury : CPB-AKI) 発症率, 腎代替療法 (renal replacement therapy : RRT) 施行率を比較検討した. 結果は, CPB中I/Oバランス, 手術中I/Oバランスで有意差があった. その他の術中の出血量, 輸血投与量, 術後ドレナージ出血量, 再開胸率, 尿量, 輸液量, CPB-AKI発症率, RRT施行率項目に関しては有意差がなかった. このことから開心術の際のボルベン使用は出血量, 輸血投与量を増加させず, 腎機能も悪化させず, 安全に使用できることが考えられた.
ISSN:0912-2664