人工心肺中におけるリアルタイム血液粘度測定法の開発と有用性

人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)を使用した開心術では、血液温やヘマトクリット値の変化に伴い、血液粘度がCPB開始時から終了時まで変動する。血液粘度は患者の循環動態に影響を及ぼすため、CPB中の有効なパラメータであると思われるが、一般的なモニタリング項目とはなっていない。本研究では、現在のCPBにおいて使用されている限外濾過回路を利用してリアルタイムに血液粘度を測定できるシステムを構築し、その性能を評価した。本システムを使用してグリセリン水溶液、キサンタンガム水溶液、牛血の粘度を測定した結果は、回転粘度計の測定結果とほぼ同一となり、誤差は±10%以内であった。10...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2014, Vol.41(2), pp.123-130
1. Verfasser: 中村, 淳史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)を使用した開心術では、血液温やヘマトクリット値の変化に伴い、血液粘度がCPB開始時から終了時まで変動する。血液粘度は患者の循環動態に影響を及ぼすため、CPB中の有効なパラメータであると思われるが、一般的なモニタリング項目とはなっていない。本研究では、現在のCPBにおいて使用されている限外濾過回路を利用してリアルタイムに血液粘度を測定できるシステムを構築し、その性能を評価した。本システムを使用してグリセリン水溶液、キサンタンガム水溶液、牛血の粘度を測定した結果は、回転粘度計の測定結果とほぼ同一となり、誤差は±10%以内であった。100~500mL/minの流量では、血液濃縮器内の流れは層流となるため、Hagen-Poiseuilleの式を利用して流量と圧較差から粘度を算出することの有用性が示された。血液粘度の変化は血管抵抗やCPB回路の回路内圧にも影響を与える。本手法を用いることにより、リアルタイムに血液粘度を測定することが可能であり、粘度変化を定量的に認識することにより、患者末梢循環やCPB回路の血液粘度を考慮した適切な灌流状態の評価が可能になると考えられる。
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/jject.41.123