低体温循環停止症例における送血部位ごとの体温変化の比較検討
「要旨」 脳分離体外循環における低体温循環停止症例において, 送血部位ごとの体温変化について後ろ向きに検討した. 対象は2007年1月から2013年4月までに低体温循環停止を行った全弓部置換術(TAR)または部分弓部置換術(HAR)の849例とし, その他の術式は除外した. 送血部位を上行大動脈(Ao群), 心尖部(Apex群), 大腿動脈(FA群)の3群に分類し, 循環停止時の直腸, 膀胱, 鼓膜温度を比較した. 適正灌流指数は2.5L/min/m2とし, 左室ベント挿入後に冷却を開始した. 今回, 中枢送血であるAo, Apex群に対し, FA群は直腸温度の有意な低下がみられた. FA群は...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2014-03, Vol.41 (1), p.51-54 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「要旨」 脳分離体外循環における低体温循環停止症例において, 送血部位ごとの体温変化について後ろ向きに検討した. 対象は2007年1月から2013年4月までに低体温循環停止を行った全弓部置換術(TAR)または部分弓部置換術(HAR)の849例とし, その他の術式は除外した. 送血部位を上行大動脈(Ao群), 心尖部(Apex群), 大腿動脈(FA群)の3群に分類し, 循環停止時の直腸, 膀胱, 鼓膜温度を比較した. 適正灌流指数は2.5L/min/m2とし, 左室ベント挿入後に冷却を開始した. 今回, 中枢送血であるAo, Apex群に対し, FA群は直腸温度の有意な低下がみられた. FA群は鼓膜温度の低下が遅れるため冷却時間の遅延があったものと考えた. 次に, 中枢送血であるAo, Apex群では鼓膜温度にてApex群の有意な低下がみられた. 緊急手術の割合がApex群で有意に高いことから, 解離による不正灌流などによって直腸温度の低下が遅延することによるものと考えられた. これらのことから, 低体温循環停止を行う症例においては患者の体温指標は複数箇所で行うことが望ましく, 送血部位ごとに異なる体内の温度変化を把握することは温度指標が限られた場合に有用であると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0912-2664 |