人工肺ガス交換能に影響を及ぼす因子の検討

「要旨」開心術での人工肺使用において, 患者の体格が近似する体外循環条件下でも酸素加や炭酸ガス排出能の違いから症例ごとに人工肺への吹送ガス条件の変更を余儀なくされることもある. 今回, 人工肺のガス交換能に影響を及ぼす因子を患者背景, 術中因子, 血液学的・生化学的データとし, 酸素需給の観点から後方視的に検討を行った. 患者背景としては男性において酸素加能, 炭酸ガス排出能ともに有意差を持って低い結果であった. 身長, 体重, 体表面積で炭酸ガス排出能と負の相関が得られた. 体外循環中の因子では酸素加能において人工肺最大血流量比において負の相関が得られた. 術前血液学的・生化学的データに関しては相関を得られなかった. これらのことから患者の体格がガス交換へ影響を及ぼす因子であることが示唆され, 性別においても男性から同様の結果を得られていることから基礎代謝量との関係が推測された. また, 人工肺選択においても人工肺最大血流量を参考とし余裕を持った選定が重要と考える.