<一般演題>2. 超高齢者の急性心筋梗塞後左室自由壁破裂に対し救命できた1症例

【目的】急性心筋梗塞後の左室自由壁破裂は救命率の低い極めて重篤な合併症であり特にblow-out型は救命が困難である. 今回我々は超高齢者の急性心筋梗塞後左室自由壁破裂に対し救命できた症例を経験したので報告する. 【症例および経過】86歳女性. 身長145cm, 体重45kg. 2011/5/7 胸痛出現するも自宅にて安静. 5/9に症状が改善せず近医を受診し心電図上II, III, aVfのST上昇を認め, 急性心筋梗塞の診断で当院へ救急搬送され, 緊急で心臓カテーテルを予定した. 入室後, 消毒中にいきなり意識消失, 動脈触知不可となり急性循環虚脱を呈しCPR, 気道挿管を施行し, 同時に...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2012, Vol.39 (1), p.91-92
Hauptverfasser: 加藤裕希, 清水良, 谷口慎吾, 半田仁美, 松本年史, 川南聡, 朝井裕一, 尾畑弘美, 菊池洋一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】急性心筋梗塞後の左室自由壁破裂は救命率の低い極めて重篤な合併症であり特にblow-out型は救命が困難である. 今回我々は超高齢者の急性心筋梗塞後左室自由壁破裂に対し救命できた症例を経験したので報告する. 【症例および経過】86歳女性. 身長145cm, 体重45kg. 2011/5/7 胸痛出現するも自宅にて安静. 5/9に症状が改善せず近医を受診し心電図上II, III, aVfのST上昇を認め, 急性心筋梗塞の診断で当院へ救急搬送され, 緊急で心臓カテーテルを予定した. 入室後, 消毒中にいきなり意識消失, 動脈触知不可となり急性循環虚脱を呈しCPR, 気道挿管を施行し, 同時にPCPSおよびIABP装着を行った. 補助循環装着後, 循環動態が改善したため冠動脈造影および左室造影を施行し左室自由壁破裂と診断, 速やかに心嚢ドレナージを施行しそのまま緊急手術となった. 手術は破裂部位を特定し心臓は止めずbeatingのまま左室パッチ形成術を施行. 手術時間は130分, 体外循環時間は45分であった. 低心機能のため人工心肺離脱困難でありPCPS, IABP装着下にてICUへ帰室するも, 術後翌日に心機能は徐々に改善し適度な昇圧剤を使用しPCPSを離脱することができた. IABPは後負荷を軽減するために術後9日目まで継続して使用した. また, 術後3日目に急性腎不全のためCRRTを開始し術後10日目まで継続して使用した. その後尿量は確保でき昇圧剤の使用量も減少し術後21日目に抜管, 31日目でICU退室. 以後循環動態は安定し, 経過順調. 高齢のため, リハビリに時間を要したが, 全身状態改善. 術後105日目に自力歩行で退院となった. 【結語】左室自由壁破裂の場合, 速やかな心嚢ドレナージや迅速にPCPS, IABPなどの補助循環を導入することで脳への非可逆的障害を阻止し, また左室の減圧を図ることで心臓の修復や心機能の回復も含め救命の可能性が高まる. 今回我々は超高齢者の急性心筋梗塞後の左室自由壁破裂に伴う急性循環虚脱に迅速に補助循環を使用し適切な治療をすることにより救命することができた.
ISSN:0912-2664