<シンポジウム>S-5. 魚骨による食道穿孔から生じた感染性仮性動脈瘤の1例
58歳女性. 吐血にて来院. CTで魚骨による食道穿孔と感染性仮性大動脈瘤の形成を認め緊急手術を施行した. 当初, 部分体外循環による下行置換を予定し, 下行大動脈に送血, 右大腿静脈に脱血管を留置して手術に臨んだ. 近位大動脈テーピング中に仮性瘤の破裂をきたし, 大動脈遮断は困難と判断し超低体温(最低直腸温23.8℃)循環停止を選択した. 大動脈損傷部(大きさ3×4cm)は弓部小弯側に存在し直接縫合は困難な状況であった. また, 弓部人工血管置換という選択もあったが, 脳分離体外循環が必要なことや, 再感染するリスクが極めて高くパッチ形成を選択した. 心筋保護は, バルーンカテーテルを使用す...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2012, Vol.39 (1), p.91-91 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 58歳女性. 吐血にて来院. CTで魚骨による食道穿孔と感染性仮性大動脈瘤の形成を認め緊急手術を施行した. 当初, 部分体外循環による下行置換を予定し, 下行大動脈に送血, 右大腿静脈に脱血管を留置して手術に臨んだ. 近位大動脈テーピング中に仮性瘤の破裂をきたし, 大動脈遮断は困難と判断し超低体温(最低直腸温23.8℃)循環停止を選択した. 大動脈損傷部(大きさ3×4cm)は弓部小弯側に存在し直接縫合は困難な状況であった. また, 弓部人工血管置換という選択もあったが, 脳分離体外循環が必要なことや, 再感染するリスクが極めて高くパッチ形成を選択した. 心筋保護は, バルーンカテーテルを使用する方法も考えたが, 損傷部が背部にあり視野不良のため, KCLを直接リザーバーに注入し心停止を行った. 循環停止にてパッチ形成を施行, 循環停止時間は38分であった. 循環再開後にDUFを施行し電解質の補正後, 自発的に心拍再開し, 人工心肺の離脱は容易であった. 今回の症例のように緊急手術においては, 急きょ術式の変更や体外循環の方法を工夫しなければならないケースはしばしば遭遇する. しかしながら, いかなる場合でも迅速な判断や準備, 更に安全を確保し体外循環を施行しなければならない. そのためには術者とのコミュニケーション, 日頃のシミュレーションが重要だと痛感した. |
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ISSN: | 0912-2664 |