<シンポジウム>S-1. 人工心肺回路凝血に対する当施設の対応について

はじめに, 50年以上前に初めてCPBが行われて以来, 使用機材の性能, 外科や麻酔の技術, 体外循環の教育環境, 管理方法などに多くの進歩があり, 体外循環は安全になってきている. しかし, 国内外問わず人工心肺に関するアンケート結果や, 症例報告, 新聞報道等をみても依然として偶発的不具合事例が発生していることも明らかである. 体外循環に従事する我々臨床工学技士は, このような突如として起こる危機的トラブル発生時においては状況をすばやく察知し, 有害事象を最小限に防ぐために敏速かつ的確に対応することが必要と考えられる. 今回当施設におけるワーストケースとして, 人工心肺終了直後における回路...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:体外循環技術 2012, Vol.39 (1), p.90-90
Hauptverfasser: 小倉直浩, 難波泰弘, 棚田智之, 斉藤孝明, 大宮裕樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに, 50年以上前に初めてCPBが行われて以来, 使用機材の性能, 外科や麻酔の技術, 体外循環の教育環境, 管理方法などに多くの進歩があり, 体外循環は安全になってきている. しかし, 国内外問わず人工心肺に関するアンケート結果や, 症例報告, 新聞報道等をみても依然として偶発的不具合事例が発生していることも明らかである. 体外循環に従事する我々臨床工学技士は, このような突如として起こる危機的トラブル発生時においては状況をすばやく察知し, 有害事象を最小限に防ぐために敏速かつ的確に対応することが必要と考えられる. 今回当施設におけるワーストケースとして, 人工心肺終了直後における回路内血を送血中に, 人工心肺回路凝血のために送血不能となった1例を取り上げ報告する. 症例は55歳男性. 急性大動脈解離の診断にて緊急上行大動脈人工血管置換術施行し, 人工心肺時間3時間45分施行の後に離脱直後であった. プロタミンにてヘパリン中和を開始していたが, 外科医の指示により術野出血が継続していたためサッカー吸引にて回収した血液を人工心肺回路より送血していた. 静脈リザーバー内血液が凝血様に目視できた直後に送血側回路より遠心ポンプ回転数上げるも送血不能となり, サッカー吸引終了し人工心肺回路よりの送血を停止した. この時点においてプロタミンは既に予定の半分を投与完了していたことがその後に判明した. この症例の反省をもとに当施設において工夫しているプロタミン投与方法, 凝血した人工心肺回路の対応等について報告する.
ISSN:0912-2664