大動脈手術における腎保護の検討

「要旨」心拍動下にて行われる胸腹部大動脈瘤手術は常温もしくは軽度低体温下で行われるため, 腹部臓器の保護や対麻痺予防は重要なポイントとなる1). 腹腔動脈や上腸間膜動脈へはバルーンカテーテルを挿入し血液を灌流する方法が一般的に用いられている2). 一方, 腎保護に関しては血液を灌流する方法, または冷却液を灌流して低温保護する方法に大別される. いずれの方法においても利点欠点があり, どちらの方法を選択するかは施設の状況や手技などにより異なる. 我々は2003年7月から2011年7月までの間で, 腎保護が必要とされたすべて(187例)の症例を腎冷却法で行った. 今回はその過去のデータをもとにし...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2012-03, Vol.39 (1), p.12-15
Hauptverfasser: 長澤洋一, 浜松貴浩, 八馬豊, 今野智佳, 松任則夫, 山田剛士, 鈴木香奈, 長澤建一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」心拍動下にて行われる胸腹部大動脈瘤手術は常温もしくは軽度低体温下で行われるため, 腹部臓器の保護や対麻痺予防は重要なポイントとなる1). 腹腔動脈や上腸間膜動脈へはバルーンカテーテルを挿入し血液を灌流する方法が一般的に用いられている2). 一方, 腎保護に関しては血液を灌流する方法, または冷却液を灌流して低温保護する方法に大別される. いずれの方法においても利点欠点があり, どちらの方法を選択するかは施設の状況や手技などにより異なる. 我々は2003年7月から2011年7月までの間で, 腎保護が必要とされたすべて(187例)の症例を腎冷却法で行った. 今回はその過去のデータをもとにして, 他の腎保護方法と比較を行った. 本来であれば同手術で行う血液灌流法との比較が望ましいが, 対象データを得ることが不可能であったため, 腎臓を冷却保護する共通点から低体温循環停止法下で行った弓部大動脈瘤手術の腎保護と比較をした. 結果, 冷却灌流液を用いた腎保護法では術後一時的に腎障害を発症する傾向ではあったが回復期には低体温循環停止法と同等の腎保護効果を得られた.
ISSN:0912-2664