5. 赤血球凝集によるカーディオトミーフィルターの塞栓を経験した1例
【はじめに】今回我々は, 体外循環下で僧帽弁形成術施行中, ハードシェル静脈リザーバー内カーディオトミーフィルター(以下CRフィルター)部の塞栓を経験したので報告する. 【経過】患者は64歳男性. 大腸癌, 十二指腸癌の既往あり. 術前診断の僧帽弁閉鎖不全症, 三尖弁閉鎖不全症, 心房細動に対し僧帽弁形成術, 三尖弁形成術, MAZE術(冷凍凝固法)施行となった. 直腸温32℃を目標に, 送血温度32℃にて体外循環を行った. 僧帽弁形成術, 三尖弁形成術, MAZE術を施行したのち, 直腸温36℃まで復温し体外循環を離脱した. 離脱時の活性化凝固時間(以下ACT)は461秒であった. その直後...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2011, Vol.38 (4), p.573-574 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】今回我々は, 体外循環下で僧帽弁形成術施行中, ハードシェル静脈リザーバー内カーディオトミーフィルター(以下CRフィルター)部の塞栓を経験したので報告する. 【経過】患者は64歳男性. 大腸癌, 十二指腸癌の既往あり. 術前診断の僧帽弁閉鎖不全症, 三尖弁閉鎖不全症, 心房細動に対し僧帽弁形成術, 三尖弁形成術, MAZE術(冷凍凝固法)施行となった. 直腸温32℃を目標に, 送血温度32℃にて体外循環を行った. 僧帽弁形成術, 三尖弁形成術, MAZE術を施行したのち, 直腸温36℃まで復温し体外循環を離脱した. 離脱時の活性化凝固時間(以下ACT)は461秒であった. その直後, 僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)出現のため再度僧帽弁の縫縮を行うこととなった. 体外循環は常温とし, 開始直後のACTは410秒であった. 大動脈再遮断と同時に順行性に低温血液併用心筋保護液を投与し, 術野でもice slushにて局所冷却を行った. 維持は同様の心筋保護液を逆行性に投与した. 僧帽弁の縫縮後, 逆流試験でリークがないことを確認し左房の閉鎖を行った. 大動脈遮断解除に向けTerminal warm blood cardioplegia(以下TWBC)を投与する直前, CRフィルター天面ポートから補液しているソフトバックの滴下速度が極度に低下した. 人工心肺回路内圧の変動はなかったがソフトバッグが膨らみ始めたため, CRフィルター部の塞栓と判断した. 緊急対応としてCRフィルター部に接続されている補液と吸引ポンプ, 血液濃縮用ポンプを停止し, 新たな心内血吸引貯血槽を追加した. TWBC注入前のACTは440秒であった. その後, 問題なく体外循環を離脱した. 体外循環時間は356分, 大動脈遮断時間は246分であった. 回路の血液回収時, 人工肺などに赤血球凝集塊の形成は認めなかった. 【検討】電顕調査でCRフィルターの内側に赤血球凝集塊が認められた. 凝集の原因として冷式抗体による血液の凝集反応, 感染症, 腫瘍, 血液疾患, 薬剤による影響などが挙げられたが, 現在調査中である. 今後はCRフィルター部の塞栓に対するモニタリングとして, 内圧測定を追加するなどの対策が必要と考える. |
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ISSN: | 0912-2664 |