人工心肺使用開心術後における痙攣発作についての検討

「要旨」 2009年1月から同年12月の間に当院で施行した人工心肺使用開心術26例のうち, 術後痙攣発作を認めた6例(A群)と発症を認めなかった20例(B群)について, 術後痙攣を引き起こす可能性があると考えられる因子を比較, 検討した. 術後痙攣を発症した手術術式では弁膜症手術が多く認められた. 患者背景や体外循環に関する因子での有意差は認めなかったが, トラネキサム酸はA群で全例に使用しており, B群では20例中7例(35.0%)に使用していた. トラネキサム酸の非投与13例には痙攣発作は認めていない. 当院では, 術中術後の出血量を減少させる目的で, トラネキサム酸を使用しており, 本剤...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2011-09, Vol.38 (3), p.436-438
Hauptverfasser: 長峰大輔, 平井晃一, 金内昭憲, 天田望, 福本恵, 秋山知宏, 平本明徳, 角野聡, 斉藤祐二, 高瀬真一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 2009年1月から同年12月の間に当院で施行した人工心肺使用開心術26例のうち, 術後痙攣発作を認めた6例(A群)と発症を認めなかった20例(B群)について, 術後痙攣を引き起こす可能性があると考えられる因子を比較, 検討した. 術後痙攣を発症した手術術式では弁膜症手術が多く認められた. 患者背景や体外循環に関する因子での有意差は認めなかったが, トラネキサム酸はA群で全例に使用しており, B群では20例中7例(35.0%)に使用していた. トラネキサム酸の非投与13例には痙攣発作は認めていない. 当院では, 術中術後の出血量を減少させる目的で, トラネキサム酸を使用しており, 本剤は中枢神経系のγ-アミノ酪酸受容体に結合することで興奮性を亢進させ, 痙攣発作を誘発する可能性がある. その作用を考慮すると, 投与量によって痙攣を生じる一因と示唆された. 「I. 背景」 痙攣発作の原因に関しては, てんかん発作や脳血管障害, 脳腫瘍, 電解質異常, 内分泌異常, 使用薬剤による影響など様々な因子が考えられる.
ISSN:0912-2664