O-9-3 心内血貯血槽内の血液停滞に関する検討

【目的】 静脈血貯血槽(VR)と一体型の心内血貯血槽(CF)内での血液停滞を疑わせる経験をした. 今回, この事象に対して, 再現・検討実験を行ったので報告する. 【経緯】 4歳男児. 身体所見は身長104cm, 体重15.4kgであった. VRはMEDOS社製MVC1630 (MR)を陰圧吸引補助脱血(VAVR)で使用した. CFに返血している血液濃縮器手前圧が通常より高値を示したため, CF側ポートを大気開放したところ, CFよりVR側へ血液が流出して貯血槽レベル(RL)が約300mL増加した. 【実験回路】 血液タンクから落差でVRに脱血し, ローラーポンプを用いて送血した. 吸引・ベン...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2011, Vol.38 (3), p.411-411
Hauptverfasser: 花田卓哉, 桑原靖之, 小林有紀枝, 岩城秀平, 山本泰伸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】 静脈血貯血槽(VR)と一体型の心内血貯血槽(CF)内での血液停滞を疑わせる経験をした. 今回, この事象に対して, 再現・検討実験を行ったので報告する. 【経緯】 4歳男児. 身体所見は身長104cm, 体重15.4kgであった. VRはMEDOS社製MVC1630 (MR)を陰圧吸引補助脱血(VAVR)で使用した. CFに返血している血液濃縮器手前圧が通常より高値を示したため, CF側ポートを大気開放したところ, CFよりVR側へ血液が流出して貯血槽レベル(RL)が約300mL増加した. 【実験回路】 血液タンクから落差でVRに脱血し, ローラーポンプを用いて送血した. 吸引・ベント回路は, 血液タンクからローラーポンプでCFに返血し, VRに陰圧をかけた. また, 吸引・ベント回路側枝を開放して, ローラーポンプで空気を添加した. 実験回路の充填は, クエン酸加牛血(ヘマトクリット値33%, 温度26℃)を使用した. 【再現実験】 MRを使用し, 送血量2.0L/minに対して, 脱血量1.0L/minに調節し, 不足分を吸引・ベント回路から血液1.0L/minと空気1.0L/minを混合して返血した. 適宜CF側ポートを大気開放して, RLの変化を観察した. 【検討実験】 テルモ社製RR-10 (TR), JMS社製OXIA IC12-06 (JR), Dideco社製D101 (DR)を対象に再現実験と同条件で循環し, 10分後のRLの変化を観察した. 更に一時的にRLを増加させて, CFが浸潤したところで循環を継続し, 5分後のRLの変化を観察した. 【再現実験の結果】 循環開始から50分後にRLが約100mL増加したが, 今回の実験では臨床で発生した300mLの増加を再現するには至らなかった. 【検討実験の結果】 初回のポート大気開放では有意な変化が発生したリザーバーを認めなかった. CFを湿潤させた後ではDRのRLが約50mL増加した. TRとJRでは有意な変化を認めなかった. 【まとめ】 今回経験した事象は, CF内に閉塞などのトラブルがなくても想定以上に血液が停滞する可能性があり, VAVRのCF側ポートを大気開放したことで, 引き込まれた空気が血液を押し出すようにVR側へ抜けたことが原因だと考えられた.
ISSN:0912-2664