人工肺からの空気引き込み防止策 ―回路変更により生じた問題点

「要旨」 我々は, 循環停止中の心筋保護液操作時による人工肺からの空気引き込みを防止する目的にて, 2009年5月にJaSECT安全対策委員会から発信された安全性情報「人工肺から空気を引き込む危険性について」に掲載されている「チェックバルブを用いた方法」を参考にして回路変更を行った. その後2009年7月から2010年4月までの約9ヶ月間に113例の低体温循環停止症例に変更後の回路を使用した. 結果的に循環停止中はリザーバーから血液が導かれ人工肺から空気を引き込むことはなかった. しかし, 通常体循環灌流中にチェックバルブの出口側へ過度の送血圧がかかり, 一方向弁が変形してリザーバー側へ逆流し...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2011-03, Vol.38 (1), p.30-33
Hauptverfasser: 今野智佳, 長澤洋一, 浜松貴浩, 遠藤久美子, 岡野隆浩, 八馬豊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 我々は, 循環停止中の心筋保護液操作時による人工肺からの空気引き込みを防止する目的にて, 2009年5月にJaSECT安全対策委員会から発信された安全性情報「人工肺から空気を引き込む危険性について」に掲載されている「チェックバルブを用いた方法」を参考にして回路変更を行った. その後2009年7月から2010年4月までの約9ヶ月間に113例の低体温循環停止症例に変更後の回路を使用した. 結果的に循環停止中はリザーバーから血液が導かれ人工肺から空気を引き込むことはなかった. しかし, 通常体循環灌流中にチェックバルブの出口側へ過度の送血圧がかかり, 一方向弁が変形してリザーバー側へ逆流していることを確認した. そこで我々は模擬回路を作製し, 逆流量と送血圧との関係を調査したが, 逆流量と圧力の間に一定の相関関係を得ることはできなかった. しかし臨床使用上, 逆流は定常流より拍動流の時に多く見られ, 自己心拍再開後から人工心肺離脱時にかけて多く確認できた. この結果よりチェックバルブを用いた人工肺からの空気引き込み防止策は逆流を起こすことがあるため注意が必要である.
ISSN:0912-2664