6. 胸部大動脈瘤に対するステントグラフトを応用したハイブリッド手術2例の経験
【はじめに】遠位弓部の胸部大動脈瘤破裂および胸部大動脈瘤に対し, 外科的治療後, ステントグラフト内挿術を施行した2例を経験したので報告する. 【症例】症例1)86歳男性.上行から遠位弓部にかけ壁在血栓を伴う嚢状瘤(最大径95mm・切迫破裂). 症例2)70歳男性 遠位弓部に粥状硬化を伴う大動脈瘤(最大径60mm), 及び大動脈解離(DeBakey分類IIIb・血栓閉塞型). 【術式・方法】症例1)左鎖骨下動脈(LSA)送血, 右心耳より一本脱血にて人工心肺確立. 軽度低体温下にて, 脳局所酸素飽和度を指標とし, LSA送血のみにて循環停止および脳分離体外循環を用いず, 上行大動脈(AsAo)...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2010, Vol.37 (4), p.457-457 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】遠位弓部の胸部大動脈瘤破裂および胸部大動脈瘤に対し, 外科的治療後, ステントグラフト内挿術を施行した2例を経験したので報告する. 【症例】症例1)86歳男性.上行から遠位弓部にかけ壁在血栓を伴う嚢状瘤(最大径95mm・切迫破裂). 症例2)70歳男性 遠位弓部に粥状硬化を伴う大動脈瘤(最大径60mm), 及び大動脈解離(DeBakey分類IIIb・血栓閉塞型). 【術式・方法】症例1)左鎖骨下動脈(LSA)送血, 右心耳より一本脱血にて人工心肺確立. 軽度低体温下にて, 脳局所酸素飽和度を指標とし, LSA送血のみにて循環停止および脳分離体外循環を用いず, 上行大動脈(AsAo)に4分枝人工血管吻合. 腕頭動脈(BCA), 左総頸動脈(LCCA)は人工血管側枝と端々吻合し, LSAは人工血管側枝と端側吻合し, 基部はコイル塞栓術施行. 人工心肺下にて遠位弓部大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術施行. 症例2)LSA送血, 右房2本脱血にて人工心肺を確立. 軽度低体温下にて冠動脈バイパス術施行. AsAo右側面にYグラフト本幹を端側吻合. BCA, LCCAは分岐グラフトと端々吻合し基部を断端閉鎖した. 人工心肺離脱後, LSAグラフトと分岐グラフトを端々吻合し, AsAo-BCA・LCCA・LSAバイパス術およびCABG施行. 20日後ステントグラフト内挿術を施行. LSA基部はコイル塞栓術施行した. 【考察】LSA送血により, 循環停止及び順行性脳分離体外循環を用いず, 弓部分枝の再建が可能であった. また, 壁在血栓を伴う大動脈弓部分枝へのカニューレの挿入, 大動脈遮断, 視野のとり難い末梢側吻合などの条件の悪い下での手術操作を回避し, 手術侵襲を減らし, 合併症のリスクを軽減できたと考えられる. 【結語】大動脈瘤に対する手術手技は多岐にわたるが, 症例に適した術式を選択することが重要である. 今回, リスクの高い遠位弓部大動脈瘤に対し, 外科的治療と血管内治療を組み合わせたことで, より安全に手術が行えた. |
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ISSN: | 0912-2664 |