11. フォンタン手術後の胸水貯留を抑えるための体外循環法の比較検討

【目的】 フォンタン手術(TCPC)後の胸水貯留は術後管理を困難にする. 胸水貯留には手術侵襲による炎症反応が関与しているとの報告が散見される. そこで, 体外循環法によりTCPC術後の胸水貯留に差があるかを過去の症例を対象に比較検討した. 【対象】 対象は1999年1月から2008年12月に行われた33例のTCPCのうち, extra-cardiac conduitを用いたnon-fenestrated TCPCについて, 落差脱血(GD)群6例と陰圧吸引補助脱血(VAVD)群10例について検討した. 【方法】 剥離は, GD群では心膜腔, SVC・IVCの全周, 右PAの全周まで行った....

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2010, Vol.37 (3), p.373-374
Hauptverfasser: 清水清香, 森田雅教, 大石愛光, 冨永浩史, 川平洋輔, 高沢天湖, 福岡昌起, 又吉徹, 小谷聡秀, 笠原啓史, 石田治, 山城ジョニー, 饗庭了, 四津良平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】 フォンタン手術(TCPC)後の胸水貯留は術後管理を困難にする. 胸水貯留には手術侵襲による炎症反応が関与しているとの報告が散見される. そこで, 体外循環法によりTCPC術後の胸水貯留に差があるかを過去の症例を対象に比較検討した. 【対象】 対象は1999年1月から2008年12月に行われた33例のTCPCのうち, extra-cardiac conduitを用いたnon-fenestrated TCPCについて, 落差脱血(GD)群6例と陰圧吸引補助脱血(VAVD)群10例について検討した. 【方法】 剥離は, GD群では心膜腔, SVC・IVCの全周, 右PAの全周まで行った. IVCとconduitの吻合ではIVCをスネアし, PAとconduitの吻合ではPAおよびSVCをクランプした. VAVD群では右房壁と右PAのconduit吻合部のみに限局した. conduit吻合ではスネアもクランプも行わなくても無血視野が得られるため, IVCおよびPAが変形しない状態で吻合を行った. 【結果】 体外循環時間, 手術時間ともVAVD群が有意に短かった(p=0.013, p=0.033). また, 胸水貯留に関してドレーン留置期間, ドレーン排液量, 300mL以上の排液を認めた期間もVAVD群が優位に少なかった(p=0.049, p=0.013, p=0.035). 【考察】 VAVD群は脱血回路に気泡が混入しても脱血が可能なため, スネアやクランプしなくても無血視野が得られるため剥離が少なくて済み, その結果, 体外循環時間, 手術時間が短縮され, 胸水貯留も抑えられた. しかしVAVD群は, 脱血回路に混入した気泡が細かく砕かれ, 静脈貯血槽や送血フィルターを通過する危険性がある. そのため, VAVDを用いる場合には, 脱血回路への気泡混入の監視と術野ビデオモニターでの術野の観察が重要である. 【結論】 フォンタン手術に陰圧吸引補助脱血法を用いることにより, 体外循環時間, 手術時間が短縮され, その結果, 胸水貯留を減らすことが可能であった.
ISSN:0912-2664