O-7-1 赤血球凝集を回避するためのプライミング条件の実験的検討

【目的】 アルカリ液に接した赤血球のechinocyte化による凝集は, 人工心肺の重大なトラブルとなる. 人工肺の高性能化, 充填液量の減少, 常温下手術, 重炭酸を含む製剤などにより, そのリスクは再認識されるべきである. 我々は, 様々な条件下で充填液のpH変化を測定した. 【方法】 FX05人工肺, 6mm径, 1,500mm長の回路を使用し, 室温25℃, 充填時ポンプ速度1L/min, 充填液量200mLとした. pH測定は, 測定レンジが広い工業用測定器にてリザーバー直下で2分毎に行った. 人工腎臓用補液(a. サブラッドB, b. サブラッドBSG), 重炭酸リンゲル(c. ビ...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2010, Vol.37 (3), p.286-286
Hauptverfasser: 古籏章裕, 鈴木章司, 藤岡未宇, 深澤加奈子, 長嶺博文, 望月仁, 加賀重亜喜, 榊原賢士, 松本雅彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】 アルカリ液に接した赤血球のechinocyte化による凝集は, 人工心肺の重大なトラブルとなる. 人工肺の高性能化, 充填液量の減少, 常温下手術, 重炭酸を含む製剤などにより, そのリスクは再認識されるべきである. 我々は, 様々な条件下で充填液のpH変化を測定した. 【方法】 FX05人工肺, 6mm径, 1,500mm長の回路を使用し, 室温25℃, 充填時ポンプ速度1L/min, 充填液量200mLとした. pH測定は, 測定レンジが広い工業用測定器にてリザーバー直下で2分毎に行った. 人工腎臓用補液(a. サブラッドB, b. サブラッドBSG), 重炭酸リンゲル(c. ビカーボン), 酢酸リンゲル(d. ヴィーンF), 乳酸リンゲル(e. ラクテック)を用いた無血充填を想定し, (1)ガスなしでの再循環の影響, (2)Air 0.5L/min添加の影響, (3)静置時のpH回復度を検討した. 【結果】 (1)各製剤の充填直後pHは, a. 7.26, b. 7.20, c. 6.91, d. 7.08, e. 6.81であった. 全ての製剤で再循環によりpHは上昇し, 危険域とされるpH 8.0には, a. 18分, b. 32分, c. 38分, d. 22分, e. 6分で到達した. (2)Airによりその時間は, a. 8分, b. 12分, c. 16分, d. 16分, e. 5分に短縮した. (3)pH値はあるレベルでピークアウトしたが, 静置でも回復しなかった. 【考察】 現在の一般的な方法では, 体外循環開始直後にアルカリ化した充填液と赤血球が接して凝集する危険を伴うことが判明した. 特に, ガス添加により安全域は大幅に狭くなる. プライミングは許容時間内に完了し, メインポンプは停止させるべきである. 当院では, 低体重児例での酸素加充填血からの心筋保護液作製, MUFなどで, 潜在的リスクが高かった可能性がある. 【結語】 体外循環法の変化に伴い, 製剤の選択を含めたプライミング条件の再検討が推奨される.
ISSN:0912-2664