O-6-1 人工心肺使用開心術後における痙攣発作についての検討
【背景】 人工心肺使用手術後の痙攣発作に関しては, 患者背景や術中温度, 使用薬剤などの様々な原因が考えられる. 当院にて人工心肺使用開心術後(循環停止症例は除く)に痙攣発作を生じた症例につき, その原因を検討した. 【対象と方法】 2009年1月から同年12月の間に当院で施行された人工心肺使用手術は26例あり, そのうち6例(23.1%)に術後痙攣発作が見られた. 上記26例を術後痙攣が生じた群(A群:n=6)と生じなかった群(B群)に分類し, 以下の項目につき検討した. 1. 術前脳梗塞の有無, 2. 頸動脈狭窄の有無, 3. 出血量(mL), 4. 術中最低Ht値(%), 5. 術中:最...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2010, Vol.37 (3), p.282-282 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【背景】 人工心肺使用手術後の痙攣発作に関しては, 患者背景や術中温度, 使用薬剤などの様々な原因が考えられる. 当院にて人工心肺使用開心術後(循環停止症例は除く)に痙攣発作を生じた症例につき, その原因を検討した. 【対象と方法】 2009年1月から同年12月の間に当院で施行された人工心肺使用手術は26例あり, そのうち6例(23.1%)に術後痙攣発作が見られた. 上記26例を術後痙攣が生じた群(A群:n=6)と生じなかった群(B群)に分類し, 以下の項目につき検討した. 1. 術前脳梗塞の有無, 2. 頸動脈狭窄の有無, 3. 出血量(mL), 4. 術中最低Ht値(%), 5. 術中:最低直腸温(℃), 6. 術後平均Caイオン濃度(mmol/L), 7, 平均体外循環時間(min), 8. 術中トラネキサム酸投与量(g). 【結果】 上記1から7の項目に関しては, 両群間で差は見られなかった. 8のトラネキサム酸についてA群は全例に使用されており, B群は20例中7例(35.0%)に使用されていた. 平均使用量はA群が8.7±1.3g, B群が6.9±3.1gであり, A群に多い傾向が見られた. 【考察】 今回の検討では, 術前患者背景や人工心肺に関する項目, また, 痙攣を誘発されると思われるCaイオン濃度には, 両群間で明らかな差が見られず, 痙攣発作との関連は低いと思われた. トラネキサム酸投与量については, 痙攣を生じた群に多量に使った傾向が見られた. 当院では, 術中術後の出血量を減少させるために, ある時期よりトラネキサム酸を使用していたが, トラネキサム酸は中枢神経系のGABA-A受容体を抑制することで興奮性を亢進させ, 痙攣発作を誘発する可能性がある. その作用を考慮すると, 投与量次第では痙攣を生ずる原因の一つとなる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0912-2664 |