3. 重傷熱中症に対し, PCPSにて急速冷却を施行した1例

【目的】重傷熱中症はうつ熱によって視床下部にある体温調節機構が障害され, 体温調節に破綻を来した状態にある. 今回, 熱中症に対し, 体外循環による急速冷却を施行した1例を経験したので報告する. 【症例】43歳, 男性. 気温37℃の炎天下のなか, 道路に倒れているところを発見された. 救急外来での所見は意識レベルJCS200, 血圧92/37, 脈拍170bpm, 発汗(-), 体温42.3℃, 痙攣様運動(+). 体表面の放熱のため, 衣服を取り去り全身にぬるま湯と扇風機をあて, 膀胱より冷水洗浄と冷却補液を施行したが体温42℃と冷却効果が得られなかった. 頭部CTより異常が無いことを確認...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2009, Vol.36 (2), p.190-190
Hauptverfasser: 神谷裕介, 峰澤里志, 浅井志帆子, 馬場由理, 田中佑佳, 宇井雄一, 山本英樹, 丸山仁美, 西村良恵, 木下昌樹, 西分和也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】重傷熱中症はうつ熱によって視床下部にある体温調節機構が障害され, 体温調節に破綻を来した状態にある. 今回, 熱中症に対し, 体外循環による急速冷却を施行した1例を経験したので報告する. 【症例】43歳, 男性. 気温37℃の炎天下のなか, 道路に倒れているところを発見された. 救急外来での所見は意識レベルJCS200, 血圧92/37, 脈拍170bpm, 発汗(-), 体温42.3℃, 痙攣様運動(+). 体表面の放熱のため, 衣服を取り去り全身にぬるま湯と扇風機をあて, 膀胱より冷水洗浄と冷却補液を施行したが体温42℃と冷却効果が得られなかった. 頭部CTより異常が無いことを確認した上, 脳の熱障害を考慮し, 体外循環による急速冷却の施行となった. 【方法・経過】テルモ社ヘパリンコーティング回路とCAPIOX遠心ポンプ, 人工肺には泉工医科工業社エクセランプライムHPO-23-H-C, カニューレはそれぞれリサーチメディカル社18Aと20Vを使用し, V-Aバイパスにて施行した. 心臓カテーテル室で挿入, 送血温を30℃・3L/minに設定し冷却を行った. ICUへ移動し開始17分後に体温36℃に冷却され, 送血温36℃・2L/minに再設定し, weaningに向け流量を下げ始め, 147分後には離脱され第7病日に退院転帰となる. 【考察・まとめ】熱中症の冷却治療において, 様々な方法があり体外循環によるものは, 出血や感染等の合併症の危険もあり, 本症例についても賛否が分かれた. 他の治療法の効果が得られなかったことが, この方法を選択する決め手となった. 今回の方法を施行し良好な結果を得た.
ISSN:0912-2664