指定-5 脳分離体外循環法について
【緒言】当院では, 弓部大動脈置換術の全症例に選択的脳潅流法(SCP)を使用している. 今回, 当院の体外循環法について報告する. 【症例】2006年1月から2008年10月までの弓部大動脈置換症例は78例(緊急26例)であった. その内訳は, 大動脈瘤(TAA)34例, 解離性大動脈瘤(DAA)44例であった. 体外循環に関するデータは, 送血部位は, 上行大動脈41例, 大腿動脈30例, 右鎖骨下動脈4例, FA・SA同時送血3例であった. 平均年齢66.4±10.3歳, 男女比62:16, 体表面積1.7±0.2m2, 体外循環時間230±70分, SCP時間107±52分, 大動脈遮断...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2009, Vol.36 (2), p.183-184 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【緒言】当院では, 弓部大動脈置換術の全症例に選択的脳潅流法(SCP)を使用している. 今回, 当院の体外循環法について報告する. 【症例】2006年1月から2008年10月までの弓部大動脈置換症例は78例(緊急26例)であった. その内訳は, 大動脈瘤(TAA)34例, 解離性大動脈瘤(DAA)44例であった. 体外循環に関するデータは, 送血部位は, 上行大動脈41例, 大腿動脈30例, 右鎖骨下動脈4例, FA・SA同時送血3例であった. 平均年齢66.4±10.3歳, 男女比62:16, 体表面積1.7±0.2m2, 体外循環時間230±70分, SCP時間107±52分, 大動脈遮断時間(心筋虚血時間)125±40分であった. 手術成績は, 手術死亡(30日以内)9例(12%), 死亡症例を除く永続的脳合併症7例(9%)であった. 【体外循環法】目標Flow Index(F.I.)は, 70歳まで2.4L/min/m2, 70歳以上2.2L/min/m2としている. Total Flow後, core coolingを開始し, 目標膀胱温27℃で循環停止, バルーンカテーテルを使用してSCPを確立する. その後, Distal arch吻合後体循環を開始, 上行大動脈吻合後に弓部大動脈三分枝を左鎖骨下動脈から順次吻合する. 三分枝吻合終了後に復温を開始し, 膀胱温36℃で体外循環離脱を行う. 以前は, 体循環開始直後に復温を開始していたが, 現在の方法になり術後覚醒時間が短縮した. 【システムと術中モニター】分枝送血は人工肺出口から分枝し熱交換器, フィルターを通過後, 一基のローラーポンプを使用し三分枝に送血する. 送血圧は60mmHgとし約10mL/min/kgで送血. 圧力は落差コントロールにより80mmHgでカルディオトミーリザーバーにオーバフローするためそれ以上の圧がかからないように工夫している. また, 標準回路に組み込む方式のため, 緊急時でも約3分で準備が可能である. 術中のモニターは, 脳保護の指標としてrSO2, 三分枝全てにセンサーを取りつけ流量をモニター, 動脈圧ラインは左手とし左鎖骨下動脈の圧力を確認している. 温度モニターには, 咽頭温, 膀胱温のみ使用. 無尿の場合は直腸温を代用している. 【結語】当院では低侵襲かつ安全な脳分離体外循環を目指している. |
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ISSN: | 0912-2664 |