7. 心疾患治療のための拍動流発生装置の開発と応用
【背景】一般に経皮的心肺補助(PCPS)は, 急性期の重篤な心機能低下による疾患においての治療として, 数多く使用されている. しかし, PCPS使用に際し, 後負荷が心機能に対して負担となっている. また, 生体は生理的には自己心により拍動流を全身に供給しているが, 心機能低下時のPCPS装着時において送血は定常流であるため, diastolic augmentationが期待できないと考えられる. 現在, PCPS装着時にcounterpulsationを得るためには, IABPが用いられるが, 新たな外科的手技を要し, 導入まで時間がかかることや, 下肢血行障害などの合併症を引き起こす可...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2008, Vol.35 (4), p.457-458 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【背景】一般に経皮的心肺補助(PCPS)は, 急性期の重篤な心機能低下による疾患においての治療として, 数多く使用されている. しかし, PCPS使用に際し, 後負荷が心機能に対して負担となっている. また, 生体は生理的には自己心により拍動流を全身に供給しているが, 心機能低下時のPCPS装着時において送血は定常流であるため, diastolic augmentationが期待できないと考えられる. 現在, PCPS装着時にcounterpulsationを得るためには, IABPが用いられるが, 新たな外科的手技を要し, 導入まで時間がかかることや, 下肢血行障害などの合併症を引き起こす可能性, コスト面など様々な問題点がある. さらに, 開心術時の人工心肺下においても, ローラーポンプまたは, 遠心ポンプによる非拍動流による生体灌流であることから末梢血管抵抗の上昇, 臓器血流の不足などが示唆されている. これまで, 拍動流と非拍動流についての様々な研究が行われているが, 拍動流による生体灌流の優位性が多く示されている. そこで我々は, 既存のシステムに簡便に装着できる新型の拍動流補助循環システムを開発した. 【方法】拍動効果と安全性を検証するため, 動物実験を行った. 拍動流発生装置は制御コンソール, および電磁弁で構成し, 実験時には電磁弁を送血チューブに装着した. 弁の開閉は心電図同期とし, R波に同期して圧閉し, T波の初期に開放する仕組みにした. 実験:ウサギ(日本白色種♂2.5-3.0kg n=6) を使用し, ランダムに非拍動流補助群(N群 n=3)・拍動流補助群(P群n=3)に分け, 全身状態・肺機能としてPaO2, PaCO2, BE, 心機能としてCPK-MB, 肝機能としてAST, ALTについて補助循環1時間後で評価を行った. 麻酔は腹腔内にペントバルビタール(50mg/kg)を投与することで導入した. 仰臥位で固定し心電図及び直腸温度プローブを装着した後, 頚部正中切開・胸骨縦切開により左総頸動脈, 右心房, 気管を剥離, 切開しカニュレーションを行い, 送・脱血管, 気道確保とした. 呼吸管理は人工呼吸器を用いて行った. さらに, 大腿動脈に圧ラインを確保した後, 3mg/kgのヘパリンを投与し, 補助循環を確立し, 拍動流発生装置の効果を求めた. また, 電子顕微鏡により回路内ダメージ, 気泡の発生などの安全面の評価も行った. 【結果】補助循環開始前, すべての値において, 両手に有意な差は認められなかった. 補助循環1時間後, 拍動流補助循環において, PaCO2, BE, CPK-MBの値が改善していた. 加えて, 顕著な回路内ダメージや気泡の発生などは認められなかった. 【結語】今回, 我々は, 既存のシステムに簡便に装着できる新型の拍動流補助循環システムを開発した. また, 安全性が確認できたことから, 倫理委員会の承認を得て岩国医療センターにおいて臨床応用も行った. |
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ISSN: | 0912-2664 |