N4-5 PCPS回路における空気除去能の実験的検討

【目的】近年, PCPS回路は開心術への移行を考慮したカスタム回路が各施設にて使用されている. 当院においても, PCPS施行中に開心術へ移行した症例を経験し, カスタム回路の必要性を感じた. 今回, カスタム回路の作製にあたりPCPS回路からの空気除去能を確認するための実験を行ったので報告する. 【方法】回路は, テルモ社製EBSの熱交換器付き回路と, 熱交換器なし回路を使用し比較した. 充填液には40%グリセリン液(26℃)を用いた. 気泡の測定には, バブルカウンターCMD10(HATTELAND社製)を用い人工肺の出口に取り付けた. PCPS回路は, いずれも送脱血を静脈貯血槽RR-4...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2008, Vol.35 (3), p.297-297
Hauptverfasser: 猪谷卓弘, 若松禎人, 向田宏, 谷本彩, 山本裕美子, 鈴木廣美, 天野篤
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】近年, PCPS回路は開心術への移行を考慮したカスタム回路が各施設にて使用されている. 当院においても, PCPS施行中に開心術へ移行した症例を経験し, カスタム回路の必要性を感じた. 今回, カスタム回路の作製にあたりPCPS回路からの空気除去能を確認するための実験を行ったので報告する. 【方法】回路は, テルモ社製EBSの熱交換器付き回路と, 熱交換器なし回路を使用し比較した. 充填液には40%グリセリン液(26℃)を用いた. 気泡の測定には, バブルカウンターCMD10(HATTELAND社製)を用い人工肺の出口に取り付けた. PCPS回路は, いずれも送脱血を静脈貯血槽RR-40(テルモ社製)に接続し循環させながら行った. 脱血側にセイフAプラグ(アーガイル社)をコネクターにて接続し, そのポートからシリンジにて空気を1~10mlまで1ml刻みに回路内に注入した. CMD10にて各気泡の量を2分間測定し, 40μ以上の気泡数のカウントを行った. 両回路ともに, 高灌流量(灌流量:4.0L/min, 送血圧:200mmHg, 回転数:2500rpm), 低環流量(灌流量:2.0L/min, 送血圧:100mmHg, 回転数:1500rpm)で3回繰り返し行った. 【結果】40μ以上の気泡がカウントされた最小空気注入量は, 熱交換器なし回路で5ml, 熱交換器付き回路で7mlであった. 両回路ともに空気除去能に大幅な差はなかった. また, 灌流量の違いでも空気除去能の差は出ない結果となった. 【考察】通常のPCPSは, 閉鎖回路であり一度に5ml以上の空気が混入することは極めてまれであり気泡を送る可能性は低いと考えられた. しかし, 開心術に移行するには空気誤送血といった不安を残す結果となった. 今回の実験で得られたことからも, いずれの回路を使用しても開心術では心臓が大気に開放されるために脱血管から大量に空気を引き込むことが予想されるので, PCPS単独での開心術は危険と考えられる. 【結論】PCPS施行中に開心術に移行するためには, PCPS回路に動脈フィルターの組み込みは必須であり, 且つ静脈リザーバーも組み込める回路の必要性が明らかになった.
ISSN:0912-2664