P1-6 胸部下行大動脈瘤手術における体外循環回路の工夫
【目的】胸部下行大動脈瘤手術で施行する部分体外循環は, 上肢と下肢が別々の血行動態になるために, バランス調整が重要である. そこで, 血行動態の管理を容易にするために部分体外循環回路に工夫を加え, その効果や利便性について検討したので報告する. 【対象】対象は2006年4月から2008年4月までに行った部分体外循環下での胸部下行大動脈瘤手術全26例(胸部大動脈置換術10例, 胸腹部大動脈置換術16例)である. 【方法】今回行った工夫は, 通常の人工心肺回路(以下, 開放回路)に静脈リザーバのバイパス回路(以下, 閉鎖回路)と, 閉鎖回路使用時の容量負荷を目的とした静脈リザーバから脱血回路への...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2008, Vol.35 (3), p.278-278 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】胸部下行大動脈瘤手術で施行する部分体外循環は, 上肢と下肢が別々の血行動態になるために, バランス調整が重要である. そこで, 血行動態の管理を容易にするために部分体外循環回路に工夫を加え, その効果や利便性について検討したので報告する. 【対象】対象は2006年4月から2008年4月までに行った部分体外循環下での胸部下行大動脈瘤手術全26例(胸部大動脈置換術10例, 胸腹部大動脈置換術16例)である. 【方法】今回行った工夫は, 通常の人工心肺回路(以下, 開放回路)に静脈リザーバのバイパス回路(以下, 閉鎖回路)と, 閉鎖回路使用時の容量負荷を目的とした静脈リザーバから脱血回路へのバイパス回路(以下, V-V回路)を追加したことである. 送血回路は1基の遠心ポンプから2系統に分岐させ上肢への循環に備え, 脱血回路は, 脱血部位の追加に備えて2系統とし適宜吸引補助脱血を行った. 【結果】体外循環はトラブルなく全例において安定した血行動態を維持することができた. 平均体外循環時間は184±82分であった. 下行大動脈近位部が遮断困難であり上肢循環停止を行った症例が2例あったが, 開放回路への切り替えをしたのちに上肢への送血を行ったが問題はなかった. 【考察】本疾患での体外循環操作は, 部分体外循環時では閉鎖回路, 上肢送血を行う場合には開放回路のほうが容易であると考えられた. 心室細動における左心室の過伸展の防止には, 肺動脈からの脱血が有効であった. 出血量が多くなった症例では, V-V回路のローラーポンプをレベルセンサーに制御させたことで安全に循環血液量の維持を行うことができた. またV-V回路は閉鎖回路使用時における静脈リザーバ内の血栓形成の防止にも有効であった. 【結論】我々が工夫した部分体外循環回路は, 胸部下行大動脈瘤手術において不測の事態にも十分な対応ができる回路であった. 今後もより安全性を高めた工夫をしていきたい. |
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ISSN: | 0912-2664 |