S2-1 当院におけるCABGでの人工心肺の現状―CPBは必要悪なのか
【はじめに】近年, 冠動脈バイパス術の第一選択としてOff Pump CABG(OPCAB)が選択される場合が年々増加している. しかし当院では2003年よりほぼ全例CABGにおいて術中の安定した血行動態維持を目的としOn Pump beating(ONCAB)を施行している. 今回, 当院におけるONCABでの体外循環回路の変遷にともなう有用性について検討したので報告する. 【方法】対象は2003年から2008年4月までの待機的CABG症例(n=85)とし, 開放型回路にて施行した群(I群, n=38), 静脈リザーバーをバイパスし静脈側にバブルトラップ(BT)を設け閉鎖回路にて施行した群(...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2008, Vol.35 (3), p.266-266 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】近年, 冠動脈バイパス術の第一選択としてOff Pump CABG(OPCAB)が選択される場合が年々増加している. しかし当院では2003年よりほぼ全例CABGにおいて術中の安定した血行動態維持を目的としOn Pump beating(ONCAB)を施行している. 今回, 当院におけるONCABでの体外循環回路の変遷にともなう有用性について検討したので報告する. 【方法】対象は2003年から2008年4月までの待機的CABG症例(n=85)とし, 開放型回路にて施行した群(I群, n=38), 静脈リザーバーをバイパスし静脈側にバブルトラップ(BT)を設け閉鎖回路にて施行した群(II群, n=28), およびポンプサッカーを使用しない閉鎖回路にて施行した群(III群, n=19)に分類し, 術前・術後の白血球増加率, CK-MB, LDH, 血小板保存率, 術中の輸血率, および挿管時間, ICU滞在日数について比較検討した. 【結果】年齢, 体外循環時間, 白血球増加率, CK-MB, LDH, 輸血率, 挿管時間, ICU滞在日数では有意差はなかった. 血小板保存率ではI群:48.5%, II群:55.5%, III群:57.8%でありIII群において高い傾向を示したが有意差はなかった. 【考察】閉鎖回路は従来の体外循環に比し低浸襲であるとの報告が多数散見される. 今回, 血小板保存率についてIII群において若干高値を示したことは完全閉鎖回路が凝固因子の損失を抑制しCPBの低浸襲化に寄与していると考える. 輸血率については閉鎖回路使用時の充填量が200ml削減可能であったが, 以前よりRetrograde Autologous Primingを施行しているため閉鎖回路使用が輸血率の低下には繋がらなかったと推測される. しかし閉鎖回路には問題点があり, 静脈側への空気混入, 中心静脈圧のコントロール方法等が掲げられる. 当院では空気混入に関しては脱血カニューレの二重結紮, 中心静脈圧を陽圧に保つ事で対応しまた回路については静脈側BT, 動脈側に動脈フィルターを使用し安全性の向上を行っている. また中心静脈圧のコントロールはJMS社製閉鎖チャンバーの使用にての対応を考慮し今後の拡張性を検討している. 以上のことから閉鎖回路でのCPBは浸襲を大きく低減する方法であり, 今後の体外循環の可能性を秘めていると考える. 【結語】当院におけるONCABでのCPBの変遷にともなう有用性を検討し, 明らかな閉鎖回路での有用性は認められなかったが, さらなる体外循環の低浸襲化および安全性の確立を目指しCPBの必要悪な部分の低減に寄与したいと考える. |
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ISSN: | 0912-2664 |