(8)小児V-V ECMOの検討

【はじめに】完全大血管転位症(TGA)に対してV-V ECMOを施行し, 救命し得た症例を経験したので報告する. 【症例】患者は生後1日の男児. 身長47cm, 体重2710g, 体表面積0.19m2. 完全大血管転位症(TGA)I型と心エコーにより診断され, SpO2が上肢:20%台, 下肢:60%台であった. そのため, 当院にてバルーン心房中隔裂開術(以下BAS)を行ない, 一時はSpO2が上肢:60~70%, 下肢:80~90%まで回復した. しかし, その後SpO2が維持できず, 上肢SpO2:33%まで低下し, 低酸素状態に陥ったため, BAS翌日にV-V ECMO導入となった....

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Hauptverfasser: 水野雄介, 山田悌士, 薗田誠, 東和美, 江向光希子, 杉浦裕之, 新居優貴, 倉地寛美, 相原有理, 五藤輝彦, 石川清
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【はじめに】完全大血管転位症(TGA)に対してV-V ECMOを施行し, 救命し得た症例を経験したので報告する. 【症例】患者は生後1日の男児. 身長47cm, 体重2710g, 体表面積0.19m2. 完全大血管転位症(TGA)I型と心エコーにより診断され, SpO2が上肢:20%台, 下肢:60%台であった. そのため, 当院にてバルーン心房中隔裂開術(以下BAS)を行ない, 一時はSpO2が上肢:60~70%, 下肢:80~90%まで回復した. しかし, その後SpO2が維持できず, 上肢SpO2:33%まで低下し, 低酸素状態に陥ったため, BAS翌日にV-V ECMO導入となった. 【回路構成】回路は人工肺SX-10(熱交換器付)と遠心ポンプヘッド(SP-45)をプレコネクトしたテルモEBS小児用心肺キットを使用し, 駆動装置には小数点以下2桁まで表示可能なテルモCAPIOX SP-101を使用した. 【方法】はじめに, 乳酸リンゲル液でクリアプライミングを行い, 次にMAP血をカリウム吸着除去フィルターで処理後, 閉鎖的にテルモCAPIOXヘモコンセントレーターに接続し, サブラッドBSで洗浄した. また, 送脱血はダブルルーメンカニューレ(12Fr)により右内頚静脈から行った. ACTは250~300秒で維持し, 血液ガスはテルモCDI500をシャント回路に接続し, 血液ガスを継続的に測定した. 【離脱までの経過】V-V ECMO導入によりSpO2は上肢70%以上, 下肢は90%まで改善した. その後, アシドーシスなどが回復し, 状態が安定してきた5日後に再度BASを行うことでさらに上肢下肢のSpO2の差が改善され, V-V ECMOのFiO2を21%としても循環動態に変化は見られなかったため, 122時間14分で離脱した. 【まとめ】完全大血管転位症により, 低酸素状態に陥った新生児に対して, 1度目のBASでは一時的にしかSpO2を回復させることができなかった. しかし, V-V ECMOを施行することで低酸素状態を改善することができたため, 2度目のBASを施行することができ, V-V ECMOが離脱可能となった. また, 今回の症例では血液プライミングを行った際に, カリウム吸着フィルターを使用し, プライミング時間の短縮が可能となり, さらにCDI500により継続的に血液ガスを監視でき, 採血量の減少にも役立った.
ISSN:0912-2664