(9)同種血非使用開心術をめざした体外循環システムへの取り組み

【目的】輸血による合併症は, 現在もこの先も重要な問題であり近年, 同種血非使用の開心術が広く行われている. 体外循環の血液希釈の影響を最小限に努めるには, 人工心肺充填量軽減が欠かせない. 今回我々が取り組んでいる体外循環システムを報告する. 【対象】2002年8月から2007年3月まで小児心臓外科で待機的に開心術を施行し, 同種血非使用にて体外循環を終了した69例とした. 疾患は, ASD32例, VSD26例, PAPVR4例, TOF3例, DCRV2例, PPS1例, MR1例であった. 【方法】回路は, S, M, L3種類を使用し, それぞれの送血ポンプヘッドのチューブ径は, 6...

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Hauptverfasser: 渡辺幸紀, 後藤秀明, 佐藤龍飛, 斎藤隼, 安藤啓子, 小野隆志, 森島重弘
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】輸血による合併症は, 現在もこの先も重要な問題であり近年, 同種血非使用の開心術が広く行われている. 体外循環の血液希釈の影響を最小限に努めるには, 人工心肺充填量軽減が欠かせない. 今回我々が取り組んでいる体外循環システムを報告する. 【対象】2002年8月から2007年3月まで小児心臓外科で待機的に開心術を施行し, 同種血非使用にて体外循環を終了した69例とした. 疾患は, ASD32例, VSD26例, PAPVR4例, TOF3例, DCRV2例, PPS1例, MR1例であった. 【方法】回路は, S, M, L3種類を使用し, それぞれの送血ポンプヘッドのチューブ径は, 6mm, 10mm, 12mmとし, 全例落差脱血とした. 人工肺は, 16Kg以下膜型人工肺Capiox RX Baby充填量43ml, 50Kgまでは, CapioxCX-SX10RH充填量135ml, 65kgまでは, CapioxCX-SX18R充填量135mlそれ以上は, CapioxCX-RX25R充填量250mlともに(テルモ社製)を使用した. 人工心肺の送血ポンプは, 体重25kgまでは, HAS-P100mmの分離型ポンプ(MERA泉工医科工業)を使用し, その他は, HAS-P150mm固定型ポンプを使用した. 【結果】術前平均Hct値はS回路群35%, M回路群37%, L回路群39%, 体外循環中の最低平均Hct値はS回路群21%, M回路群23%, L回路群26%であった. システム別最終希釈率はS+Baby群16%, S+10群17%, M+10群21%, M+18群15%, L+18群14%, L+25群9%であった. 各システムにおいて最終希釈率15%前後で経過し, また体重の少ないS+Baby群においても最低Hct20%前後で経過することから, 低体重症例のおいても液量平衡を増加させることなく人工心肺離脱が可能であった. 【結語】生体への影響を考え, 同種血非使用体外循環をめざし低充填化システムを模索する中, 体重, 症例別に各サイズの回路に数種類の人工肺を組み合わせ, また人工心肺装置も固定型と分離型の送血ポンプを組み合わせて使用することで, 充填量を削減し, 同種血を使用する事なく, また術中希釈率を極端に下げる事なく, 開心術が可能となった.
ISSN:0912-2664